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「ニーナお嬢様あああ」

 

「げ…」


「なんでアイデア出す時に直接来てくれないんですかあああ」


室内に入った途端、物凄い勢いで走り寄ってきたのはこの研究所の副所長でかつこの研究所唯一の女性、ナタリーさんである。いつものこの調子なの。本当に昔から。

 なんでこうも…。


「な、ナタリーさん…とりあえず落ち着いてくれないかしら?」


「だって!だってえええお嬢様から出される数々のアイデアを物にするのが私の楽しみなのに!」


「わ、分かった!分かったから一回深呼吸しましょう?ね?」



 何度か同じようなやり取りを繰り返してようやく落ち着いたナタリーさんにアーサー様とネロ様のことを紹介を忘れていたことを思い出し、チラリと視線を向ければネロ様は壁に寄り掛かったまま寝ていて、アーサー様は私達のやり取りをニコニコしながら見ている。何がそんなに面白いの。


「あ、あの。お待たせしてすみません。こちらはこの研究所の副所長のナタリー・ラビスさんです。ナタリーさん、こちらは副団長のアーサー・グラン・アヴェール様です。あちらで寝てらっしゃるのは魔術師団所属のオリバー・ネロ・ルフォン様です。ナタリーさん、本日は例の物が用意できたとのことだったのでお渡しする予定の二名も一緒に来ましたの。くれぐれも失礼のないよう、お願いしますね?」


 ね?って笑顔で圧を掛けておく。そうじゃないと何をしでかすか分からない。


「お初にお目に掛かります。末端ではありますが、一応貴族ですのでお二人のことは存じ上げてます。本日は使用方法等ご案内させていただく役割をさせていただきます。改めてよろしくお願いいたします」


「ああ!ラビス男爵の!王宮文官の方ですね。一度だけご挨拶させていただいたことがあります。そんなに堅苦しくなくていいですよ。こちらこそ今後ともどうぞよしなに」


「…ネロでいいよ。よろしく」



 さあて、ご挨拶も終わったしそろそろ本題にいきましょうか?今回それ以外にもマジックバックの進捗とか諸々報告を聞きたいし、そろそろ冷蔵庫のアイデア出してもいい頃合いかなって思うからその案も出していきたい。


「ナタリーさん、諸々報告は欲しいのだけどまずは例の物から説明いただいてもよくて?」


「もちろんです!では、あちらの秘匿部屋にご案内しますね」




 

 説明が始まってから約二時間――


 いまだに説明が終わらない…・というかアーサー様もネロ様も真剣に聞いてるんだけど真剣だからこその質問とかそういうのが多くて一つ一つの説明にかなり時間が掛かっている。いや…うん。良いことなんだけどね。しっかり聞いてくれ、とも思う。


 いやぁ、でもまあサクッと終わると思ってたので、少しだけ驚いてます。ハイ。


 この後の諸々の報告も聞かないといけないと思うと気が滅入るね?

まあでもいいか。あ、そういえば今回も湖に行きたいんだけど精霊王様来てくれるかな?


『貴方が行けば絶対来るわよ』


『どうせ暇だからな』


 (相変わらず辛辣ね、ブルー。でもそっか。じゃあいつも通り、リュス様とレイラ様も誘ってピクニックにでも行こうかな?ちなみに今一緒にいる二人も声かけても平気かな?二人のことも精霊のこともバレちゃうけど…)



『よっぽど悪意がない限り、お前と一緒なら大丈夫だ』


『この二人なら、まあ大丈夫なんじゃないかしら〜?』


 (そっか。じゃあ後で声掛けておくね。それとその時にミリィもブルーも紹介するね)


 隠す方向じゃないし、この二人ならまあ…うん。無駄に口軽いとかそんなんじゃないだろうし。付き合いも長くなりそうな予感するから話しておこうかなって、うん。少しだけ思った。


ちなみにリュス様、レイラ様は王族だけの目があるので妖精は視えるんだけどアーサー様とネロ様は視えるかな?

 公爵邸に帰ったら聞いてみよう。


「ニーナちゃーん!飽きてるでしょ」


「…そんなことはないわよ?ちゃんと聞いているもの」


「本当ー?まあいいけど。何考えてたの?」


「後でお話ししますわね。ここからは私が色々と報告を聞くだけになるんですけれど、どういたしますか?」


「俺らがいてもいいなら、ここにいるよ」



 ってことなんで。さ、ナタリーさん!諸々の報告お願いしまーす!



「まずは先々月、先月の売り上げについてこちらの資料をご覧下さい。それとマジックバックは先週くらいには完成していたはずです。担当の者を連れてこさせますね」

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