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例の予言の件の会議から、早いものでもう半年経ちました。時の流れは残酷なまでに早い…!
今は夏季休暇中で、レイラ様とリュス様。そしてなぜかネロ様とアーサー様も一緒に我が領地に来ています。
いや、なんで?ねーーーなんでーーー??
いつもと違う人がいるとめちゃくちゃ緊張するんですけど!
「ねー、ニーナはなんでそんなに魔法が得意なの?」
「なぜと仰られましても…お父様に教えてもらっていたからとしか…」
「へえ、じゃあニーナは公爵様に魔法を習ったんだ。俺も魔法は使えるけど火魔法と風魔法ってなかなか扱い難しくて剣ばっかり鍛えちゃったからなー」
「そ、そうなのですね?でもさすがはアーサー様ですね。二属性持ちってなかなかいないのではなくて?」
なぜ、こうなった。平然と話しているけれど、今日は研究所に行くだけなので一人でいいと言ったのに。ネロ様もアーサー様もついてくるって聞かなくて…。振り切れなかった…!
せっかく今日はレイラ様もリュス様もお勉強で忙しくて一緒にいれないからと一人で息抜きがてら研究所まで魅了魔法、魔道具、魅了の魔法薬などに対抗するものが完成したというから様子を見に行こうと思ったのに…!
貴方達といると気を使わないといけないから疲れるのに!もう!!もうー!!
「そういえば、ようやくニーナも俺の名前、自然と呼んでくれるようになっただね?」
そうなのです。護衛をしていただくことも多くて、側にいることが多いこともあってか、ある日アーサー様から『副団長までつけると長くないですか?アーサーでもいいですよ。それと敬語も、なくていいのでどうぞ気楽に』なんて言われてしまって!断り切れなくて、では貴方もニーナと、それと敬語も結構です、なんて全然可愛くない返しをしたまではいいのだけれど。その後彼のことを呼ぼうと思うと気恥ずかしくてしばらく呼べなかった。名前呼ぶだけなのにね?
それからと言うもののアーサー様はしきりに私のことを揶揄ってくるようになってしまって。しまいには、普段護衛中っとかは一人称が『私』なのに、私の前では『俺』になっていたり…
気になって聞いてみたら、普段は『俺』らしい。
まあ騎士団にいるだけあって、アレだな。漢って感じがする。見た目に反して。
見た目こんなに中性的で、綺麗なお顔してるのにあの形の良い口から『俺』なんて出てくるし敬語なくていいってなったら砕けた言葉使いもなかなか漢らしい感じでなんかもうギャップ萌えってやつ?!小説だとそこまでの細かい描写がなかったから全然気が付かなかった。っていうか、そういうの出される前に殺されてただけか私が。
はーーーヒロイン登場まで残り半年とちょっとってとこっろね。この先どうなるのかしら。
「ねー、僕のことはネロって呼び捨てにしてもいいよ」
ハイ。そうなんです。なぜかいつの間にかネロ様までこんなこと言うようになってて…もーーなんで?!
ただネロ様は私に好意を抱いてるってよりは研究対象、興味って感じの感情の方が強そうなのよね。なんでなんで?ってめちゃくちゃ質問攻めされるのですよ、会うたび。
たまにしつこくて、キレそうなくらい。アハ。
「いいえ、ネロ様。敬称をおつけせずお呼びするのは未来の夫だけって拘りがありますの。なので、ええとネロ様でどうかご勘弁くださいね」
「…ふーん?まぁなんでもいいけど。アーサー、僕ちょっと眠いから研究所着いたら起こして」
「はいはい」
あああ、目の前にドチャクソタイプな人がいると思うとどうしても前世の癖で推し活したくなる…!
ぎゃああっなんでいま目があったの?!しかもなんでそんなに嬉しそうに微笑んでるの?!ねえ!!
「ニーナは本当にかわいいね」
「な、…なななんですの…?先日から可愛い可愛いって…そうやって色んな女性を手玉に取って遊んでいらっしゃるんでしょう?」
「ええ?そんなことしないよ。これでも騎士だからね。本当に思ってないことは言わないさ」
「…そっっ…そうですか…」
うん、って言いながら少し困った顔をしてるのに、なぜかそれを誤魔化すかのようにニコリと微笑んで窓の外に視線を移した。
こんなに素敵な方なのに、なんで婚約者の一人もいないんだろう。気になるけど聞くのもなあ。
それからしばらくは、ネロ様の寝息を聞きながら、無言の時が流れた。こんなに無言なのに、息苦しくないってすごい。あんまり自分から話すのは得意じゃないからこういう空気感は嫌いじゃない。うん、眠って…
『ニーナお嬢様、到着しました』
うとうとし始めてたのに、ついてしまったらしい。まあ、いか。今日はなるべく早く寝ようかな。領地に帰ってきてからは何かと忙しかったし。
(注)アーサー副団長は、本当に真面目な騎士様です。
ちなみに作者の好きな外見をフル装備してるのは、アーサー様と公爵家の方々です。




