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それから幼馴染ズとお父様、メリーを含めて今後の対策を話し合おうと思ったのだけど起きた時点ですでに朝食の時間を過ぎていたみたい。
三人はすでに支度を済ませていたので、私もメリーを連れて急いでお風呂に入って着替える。メイクは普段からそんなにしないけど『今日は初日なので!』なんて気合いいっぱいのメリーにお任せ。髪はハーフアップにしてシルク素材の大きめなリボンをつける。
うっひゃー!美少女だ美少女だと思ってきたけど、本当に美少女だわ。見た目は超絶清楚系できっと喋らなければそれなりに高貴な淑女に見えるでしょう。まあ喋るけど。
「さ、行きましょうか」
「お父様、授業が終わり次第殿下達と王宮へ行きますね。また後ほど」
ぎゅうと胴回りに抱きついても無言だから、変に思って見上げるとすっごいデレデレしてた。ニコォってしながら殿下達を見てドヤ顔までする始末…私も大概だけれどお父様も大概親バカよね…。いいのですよ、私は嬉しいので。
「まったく何を見せられてるんだい、僕たちは。公爵もラナもそろそろ離れて行きますよ」
「ふふふ、はあい」
寮の玄関までお父様をお見送りして、途中まで四人で廊下を歩く。これだけですっごい視線感じるしチクチク痛い。やっぱどこの世界も女って怖い。
大丈夫、安心してくれ。世界がひっくり返ってもレッド様やリュス様との幼馴染以上の関係はあり得ないから…!お互いに!
「じゃあ私達は上だからここまでだね。ラナ、頑張ってね。レイもラナをよろしく」
「レッドお兄様!またランチの時間に!」
「リュス様もまた後ほど!」
二人と別れて、レイラ様が腕を組んできたのでそのまま話しながら教室まで向かうとすでに先生がいた。
「レイラ様…!おはようございます。その方が、例の?」
「ええ、そうでしてよ。私の幼馴染なの。丁重にお願いね、先生」
短い返事とともにこちらに笑顔を向けてくる先生の目は全く笑ってなくて思わず吹きそうになってしまった。納得いってない気持ちが全面に出過ぎですよ、先生。仮にも良い大人が…。全く。私の学院生活って思った以上に波瀾万丈なものなりそうね。
「お初にお目に掛かります、ニーナ・ラナ・ローレルです。どうぞ今後ともよろしくお願いいたしますね、先生」
「こちらこそ。ロイ・キュラスと申します。では僕が呼んだら教室に入ってきてください」
「ええ、分かりましたわ」
びっくりしたーーー!ロイ・キュラスですって?!攻略対象の一人じゃないの!ええええ
でも物語では担任ではなかったはず…どうしてこうも違うのかしら…
それからすぐに呼ばれ、教室に入るとそれはもう失礼なほどに上から下まで撫で回されるようにガン見されるなか自己紹介を終えた。
気分が悪いわ、本当に。そんなにこの薄い色ってダメなのかしら。
「では本日は以前からお伝えしていたとおり、魔術師の方を招いての授業となります。鍛錬場へ移動して着替えを行ってください」
まぁ早速魔法についての授業なのね?
これってわざとなのかしら?そう思っても仕方ないほどのタイミングで思わずため息を吐いてしまう。
「ラナ、行くわよ!」
「レイラ様、お友達はいいのですか?」
幼馴染とはいえ、外で気軽には話せないのでお互いの立場を考えて人前では私は臣下として務める。
「あら、貴方達も一緒に行くのではなくて?」
「え…あ、でもその私どものようなものが公爵令嬢であるローレル様とレイラ様の中に混ざるわけには…」
「あら、私は大歓迎ですわ?お友達になってくれるなら尚更。…ダメ、かしら?」
まー、怖いよね。まさかの王女と公女だものね。
分からなくはないわ、その気持ち。私がその他大勢の貴族だったら近づかないもの。でもレイラ様と仲良くしているってことは良い子確定なので、ここは私も混ぜてもらいたい。
「ダメじゃないです!!あ、あのローレル様…とてもお綺麗でスタイルも良くて…昨日窓から少しだけ見えてからずっと頭から離れませんでした!私なんかで良ければぜひ…!」
「まぁ、ダメよ。『私なんか』なんて言わないで?貴方はとても素敵なレディよ?一目見ただけで分かるわ」
「あら、やっぱりラナってば見る目あるわね。この方は、ディアーブル子爵家のコリン様よ。博識な方なの。絶対ラナとも相性良いはずよ」
なんて言ってウインクしてくるレイラ様。
初めから紹介してくれるつもりだったのね…もう可愛いわレイラ様。大好き。
「あら、あらあら!ディアーブル子爵のご息女でしたのね!私、貴方の父とは少しだけお話ししたことがありますわ。とっても素敵なお父様ね。私のことは、ニーナと呼んでくれる?私はコリン様とお呼びしてもいいかしら?」
「は…!ち、父がですか?聞いてない…!こんな素敵な方とお知り合いだったなんてずるい…!もちろんです、ニーナ様。よろしくお願いします」
和やかに自己紹介をし合って鍛錬場に向かっていると、目の前にド派手に制服をデコって金髪縦ロールのいかにも性格キツいです、みたいな子が取り巻きを連れて立ちはだかった。なんか来ると思ったからこっそりとポケットに入れていた録音機のスイッチを押す。
「あーら!これは色無し公女のローレル様ではありませんか!その髪の毛の色…・これから始まる魔法の授業には出ない方がいいのではなくて?」
「…」
どこのどいつだこの女…と思いながらレイラ様をチラリと見ると…顔が死んでる…!怒らす前にやめさせないとレイラ様がキレちゃうぅ…!
「えー、と?どなた、かしら?」
「まぁ!今日まで学院に通ってなかったのですから?わたsくしのことをご存知ないのも無理はありませんわ?わたくしいはダラン侯爵が娘、タチアナですわ」
ちなみに一個言っとくと、この王国での貴族の序列?は
王族・大公・公爵(ちなみに大公と我が公爵家は同列)・侯爵・伯爵・子爵・男爵となります。
なのでこの方のこの不遜な態度は、普通にアウト。
「まあ、ダラン侯爵家のタチアナ様ですのね?自己紹介ありがとう。それで、なんだったかしら?」
「…?!はあ?色無しで魔力もないくせに王族の方々と馴れ馴れしくしないで大人しくしてなさいよっ!」
「私、いつ魔力がない、なんて言ったかしら?」




