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「ん、…え?…え⁈」


 何かを掴んだと思ったのに…アレは一体なんだったんだろう。思い出せない…けど、ここがどの小説の世界なのかは分かった。


『本当の悪役はどっち?』


の世界の中なんだ。しかもすぐに死ぬ悪役令嬢って私か。おおう…やだなぁ…死にたくないなぁ

 ん?でも”私“は王子の婚約者でもなければ処刑されてもない、当然死に戻りもしてない。

 それに何より、伯爵令嬢じゃない…!


 物語とは違う…?


 じゃあもう大丈夫ってこと…?でもヒロインって確か13歳の時に途中入学してくるんだよね。てことはあと一年、か。このまま誰の婚約者にもならなければいける…?死亡ルートだけはやだから徹底的に攻略対象から離れれば…って無理だ。だって攻略対象の第一王子も第二王子も大事な友達だもん。今更距離置くなんて相手にも失礼だわ。

 それにそもそも浮気する方が悪いんだってなんで話しが通じなかったんだろう?ヒロインは転生者なのかな…今からでも探れないかな?あ、でもそうかいじめてない証拠は提示できるじゃん!私と研究所の力作!カメラと録音機!これだ!

 じゃあ何もしてないことをもっと確実なものにするためにも動画は必死だね?どの道提案しようと思ってたし、前はいそ…「ラナ!!!!いい加減返事しなさい!」


「んえ?!レイラ様…?」


 あれ、良く見たらメリーもレッド様もリュス様もいる…?え、お父様まで!


「大丈夫?朝になっても目覚めないしメリーに聞いたらお風呂にも入ってないんですって?そんなに疲れてた?」


「あ…いや…なんか意識が変なとこに行ってた…みたいな…?」


 (やばいやばいやばい…なんて説明したらいいんだろう…!前世とかいったら頭おかしくなったと思われるよね?!あっ!コレだ!コレしかない!)


「や、なんだろう…?お告げ?神託?みたいな感じなのかな?」


「お告げ?神託…?」


 ぎゃあああ怪しんでる…!怖いでもここはそれでゴリ押す!


「うん、本当かは分からないんだけど。昨日メリーが準備してるときに眠くなっちゃってそのまま意識失う感じで、そしたらなんかいきなり場面?私のいる場所?が変わってて…」


 小説の物語をあたかも神託かのように話してみる作戦!これで信じてもらえなかったら…その時はその時だ!はっはっは!


「…ふぅん…君が悪役ね」


「うん、でもね、その場面でも私って伯爵家のままだったの。そこからして違うじゃない?だからもしかしたらただの夢なのかも…」


 そこまで言うと、今まで黙って背中を撫でてくれたお父様が急に私を抱き締めてきた。


「やはり学院入学はやめよう…?」


「お、お父様…でもそれだとみんなが…」


「私はね、こんなこと王族の前で言うのもなんだけど。ニーナ、君が幸せに笑っててくれるだけでいいんだ。君が死ぬなんてこと、考えたくはないんだよ」


少しだけど身体が震えてる。そうだよね、お父様は大好きだった奥様にも先立たれてるんだもん。死の予言なんて不安になるよね。でも、それでもね、物語みたいなことが本当に起きるんだとしたら…知らんフリはできないの。

 レッド様にはアンネリーゼ様っていう素敵な婚約者様がいて、リュス様は騎士団で腕を上げてて、レイラ様にはいつも自由に輝く笑顔を絶やさないでほしい。

 大切な人の大切な人が、苦しんでるのを見て見ぬふりはできない。


「お父様、ありがとう。ニーナはいつまでもお父様の娘ですよ。絶対に死にません。そして、そんな悪逆非道な方に負けるわけにはいきません。だって、私お父様が大事にしてる公爵家をちゃんと守りたいって思ってるんですもの。正直あんなものを見てしまって怖くないなんて言えません、死にたくなんてないです。だって、私はお父様の後継者なので。ちゃんと気をつけます。カメラもある、録音機もあります。私は誰もいじめません。誰かを落とし入れてからじゃないと幸せになれないなんて、そんなの間違ってるもの。ちゃんと公爵令嬢として証拠も残してしっかり対処します。だから、ね?ニーナを、私を信じてください」


「ああ、ああ。そうだね。君は強い子だ。私はニーナを信じているよ。証拠のこともそうだけど、ちゃんと私達を頼りなさい。いいかい?君は一人じゃないよ」


 ああああ愛しのお父様…!憂を帯びたその表情も素敵です。格好良い…!


「そうよ、私もいるのを忘れないでもらいたいわ?」


「うんうん、大丈夫。ラナのことは僕たちも信じてるよ」


「まぁなんかあったら守ってやるから。安心しろよ」


 レイラ様…レッド様…リュス様ああああああ

 ありがとうございます…!例え最後にお二人と戦うことになっても私勝ちますね…!


「うん、勝ち負けは関係ないからね?まあでも、そうだね。騎士団長のことも魔術師のことも気になるけど、君の兄はどうする?」


「うっ…そういえば兄ってレッド様と同じ学年ですよね…彼はどんな人物ですか?」


「うーん、お世辞にも優秀とは言えないけど魔力量もあるし性格は悪くないんじゃないかな?努力家だしね」


 おおお?意外と高評価ですな。


「じゃあ、私と会っても大丈夫そうですか?」


「…僕たちを同席させてくれるなら」


「じゃあ兄とだけは話してみようと思います」

 

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