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プロローグ


今日の空は青くて、雲一つない。



「とてもいい天気ね」



執務室の窓から空を見上げると眩しいくらいに太陽が輝いている。気温も丁度良い。こういう日はお気に入りの庭でお茶をしたい気分だわ。



「やぁ、僕の愛しい人。そろそろ昼食も兼ねてお茶にしないかい?今日は庭で、なんてどうだろう?」

「まあ。素敵、そうしたいと思っていたところよ」


 そう返して手を差し出すと、スマートな仕草でエスコートしてくれる。


「いつも君のことを考えているからだよ、ニーナ。少なくとも俺以上に君の考えていることが分かる人間はメリーくらいじゃないかな?」

「恐れ入ります。が、当然です。私はニーナ様の右腕ですから」

「全く手厳しいね?俺も今以上に頑張ろうじゃないか」

「まあ、そこでメリーと張り合うなんて。ふふふ、本当かわいい人」


当然だろう?俺は君のことが愛しくて仕方ないんだ、なんて言いながらいつの間にか東屋にセッティングされている椅子をスッと引きドレスが引っかからないようエスコートしてくれる。


テーブルには昼食用のサンドイッチ、キッシュ、領地で採れたお野菜が盛られたバーニャカウダーなどが並べられていた。



「やだわ、凄く美味しそう。早速いただきましょう?」

「あぁ、そうしよう。ニーナが美味しそうに食べる姿が早く見たいよ」

 まあ、変な趣味ですこと。

 なんて口には出さない、だってきっと彼は分かってて言っているんだもの。いちいち恥ずかしがっていたら私の負けね。



それにしても、こんなにまったりした時間が過ごせるなんて。数年前までは考えられなかったわね。本当に平和。緑は多いし、庭師のジョンが整えたこの庭園には色とりどりの花が咲いている。目にも優しい。

 ああああ、癒される。

お腹の子もいつかはこの庭園を走り回ることになるのね、ふふふ。母様もあなたのお父様も早くあなたのお顔が見たいのよ。でも、まだもう少しだけ、我慢するわ。だから、母様のお腹の中であと少しだけまったりしていなさいね。


「ふふ、ニーナ。君は今、お腹の子に話しかけているね?表情がとっても幸せそうだ。いいね、こんなに幸せな時間を君とこうして過ごせてる。ああ、ほんと。なんて幸せなんだろうね」

「本当にね。私、今とっても、とーーーっても幸せよ。こんな幸せな時間をありがとう、あなた」


幼いころ実家には捨てられるように公爵家へ押し付けられ、それなりに心も荒んでたし前世の記憶を思い出して、転生したと思ったら好きで読んでたけどラストに近づくに連れて展開がおかしくなった残念なラノベの世界だし見た目で色なしと罵られたり…それはもう。本当に色々あった。

悔しくなかったわけじゃない、それでも私を大切にしてくれる人達がいたから頑張れたわ。それに、今では、ね?



 ふふ、あーあ、転生して良かった。



 色無しと蔑まれても、見捨てられ子として罵られても、チート能力と愉快な仲間達とのスローライフを目指すべく理不尽に正面から立ち向かう、一人の少女の物語 ――

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