第1回 創造(そうぞう)と破滅(はめつ)
劫の黄昏にて
炎は褪せ 飛翔は重く 翼は散り それらは形なき永遠の光に消えていった
銀河の視界を超えて 地球の版図に 極小の時間単位で刻まれる人類の時代の輪郭
星々の瞬きが 創造と破壊を完結させる
――タゴール
......
3.1415926
この数字、皆さんご存知でしょう?
つまりこれは円周率π(パイ)の基本的な簡略版というわけです。人類が長い歳月をかけて辿り着いた「省略形」
「これで完結した」と思えるでしょう?
むしろ逆です
これは無限に最も近い記号なんです
「無限より大きい」という噂もあります。でも誰も計算し切れていないから、真偽は定かじゃない
「この数字の終着点が解明された日、世界が滅びる」なんて都市伝説も。そんなスーパーコンピュータが存在するなら、人類が戦争を始めない方が不自然だもの。でもその日は永遠に来ないから、真実は闇の中
そして最も信憑性があると言われる説
「π(パイ)と無限大を足せば宇宙の果てか体積になる」――その存在を知ることが宇宙の神秘を解き、新しい宇宙を創造する力を得るとか
宇宙を再生し 自らの世界を紡ぐ
どうして私がこの説を最も信じているのか?
正直、自分でも分からない
π(パイ)+∞(むげん)が何を意味するのか この説が本当に伝えたい核心が何なのか
ただ分かっているのは「その意味」そのもの この説が孕む究極の真理
ただし素人の戯言ですから どうか笑い話程度に聞き流してください
本気にされると困りますからね 私も あなたも
(咳払い)本題に戻すと
つまり両方とも計算し切れないモノ 結論のない存在ってこと
古代ギリシャの哲学者アリストテレスは「無限大は存在し得る」と主張しました 有限な量が無限に分割可能でも極点に到達できないから
しかし円周率π(パイ)は無限の分数の積であり 円周と直径の比率を表す無理数――つまり終わりのない不規則小数
要約すると π(パイ)と∞(むげん)は対極にある
既知と未知
π(パイ)は計算可能で 現時点で62.8兆桁まで解明されている 最終結果ではなく これからも増え続ける
だが幸い 既知の領域にある
一方無限大は到達不能 その限界を知る術も 計算する方法もない
科学者たちは宇宙が滅びるまでに結論を出せなかった
これが未知 答えのない領域
でも重要なのは 私の結論はこの理屈と無関係だってこと
長々と語った結論を一言でまとめると――
既知の無限+未知の無限=無敵
真の意味での無敵
良い(い)い面も悪い面もある 無敵は孤独だから 力の獲得には常に重い代償が付き物
使命を自覚させるため その代価は法外に設定される
ウェインが両親を ピーターが叔父を失ったように
これは苦い記憶です
この話をして 思い出しました
あの忌わしい過去を
ある時期 私たちの世界で超能力が覚醒した時の事 人々(ひとびと)は力を得ても世界を良くせず 逆に狂乱した より強力な力を求め 殺戮が星を覆った
私と彼女は魔法という超能力を覚醒させた でも彼女は修業で既知の領域を拡大する必要があった つまりπ(パイ)の計算
初期値が3.14なら 強化するにはその後の15926を算出しなければならない
一方私は生まれ持った∞(むげん)の魔力 望むことなら何でもできる
空を飛び 地中を潜り ダンスパーティーを催すことさえ
願いさえあれば 不可能など存在しない
何より大切なのは
彼女を連れていけること
責任は可能な限り果たした 無限だから
スーパーヒーローになり 自宅周辺の街を守り 知人を救った
正直 何度か諦めかけた でも彼女がずっと支えてくれた 乱世の中でも 私は愛され続けた
でも あの一線を越えることはついにできなかった
活動を続けるうちに 当然敵も増えた
ある日 殺人犯から住民を守る日常的な任務で
いつもより多くの敵が現れたことに気付いた
でも力を過信した私は軽視した
当然気付くべきだった 私たちと同じ力を覚醒させる者が現れることを
π(パイ)――無限に最も近い記号 その強度は後ろの小数と単位で決まる 多ければ多いほど 成し得る事象が拡大する
そして
地面に穿たれた大穴 妹を守るため全力を尽くした彼女 その努力が二人の全遺体を残した
最期の言葉は笑顔で私に告げられた その無邪気さは地上の至宝
「一緒に魔法学校へ通いたかった…あのシリーズ本全部読んだよ でも…映画版を…一緒に観られなくて…残念…」
力には代償が伴う 最も重いのは愛しき者の死
でも分かっている 彼女が信じ続けた「人之初性本善」という古き国の言葉を
私も信じている でももう「人之初」じゃない 年月を経て 悪性は人間に根付いた
変えられない
だからこの信念を抱いて 宇宙を爆破した
地球から始まった第二次宇宙大爆発
宇宙は物理的に定義される全ての空間と時間 時空とその内包物 電磁放射・通常物質・暗黒物質・暗黒エネルギー(あんこくえねるぎー)など全てのエネルギー形態を含む
でも私の宇宙には魔法が追加されている
魔法粒子が基本分子として構成する新しい宇宙
源?
言うまでもない 私自身です
文明は完全に私の構想通り(どおり)に発展 以前から夢見ていた剣と魔法の世界
既知の宇宙として 私は創世神となった
未知の宇宙として 彼女は永遠に私の心に住み続ける 宇宙が何故誕生したのか 誰も知らないから
何であれ 彼女が信じた言葉を信じ続ける
今も愛しているから
未知の無限として 私の未来は占えない 占い師じゃないし
ましてこの世界の占い師に 私の結末など推測できるはずがない
でも彼女の有限な結末は あの数字列に永遠に刻まれた 既知の有限として
決して忘れない記号
π≈3.1415926
長く眺めていた二人の写真を置き 思考の海から浮上した時 以前企てていた計画を思い出した
カーテンを引き 窓を開いて 新鮮な空気と陽光を部屋に招き入れる
少し眩しいが それでも見えた
光の向こうに 何かが降り注いでいるようだ
ああ 久しぶりに外出してみようか?
あの本来存在すべきでない青い輝きの正体を確かめに
そうだ 行くべきだ いや 行かねばならない
彼女の写真を手に取った瞬間 その光が現れたのだから
もしかしたら彼女の思いが――
「お出かけになりますか? 吾主」
気が付くと 既に靴を履き玄関に立っていた 身に纏っているのは彼女のセーラー服
執事の男性と 彼女の姿に幻化した私の組み合わせは 完璧なお嬢様風
使用人に優しい微笑みを贈り ドアノブに手をかけて宣言する
「トートカナ 大人数分の茶菓子を準備しておいて すぐ戻るから」
主人の笑顔に ハンサムな執事は深々と頭を下げた
「かしこまりました 全ては創世神様の御心のままに」
ほらっ、めっちゃええ感じのAI見つけたわ~!これでもう翻訳もルビ振りも楽勝やんか。あかん、安心せぇへん?わてがAIに頼るような堕落ぶりはせえへんから、へんな心配せんといてや~。もしも「こいつAIで全部書いてるやろ」って思うたんやったら、遠慮なくコメ欄でボコボコに言うてくれや~。あ~、もうこれでわてのガッタガタ日本語で皆さんを困惑させんくて済むわ。AIってホンマ便利やな~。(てか、これからもちょくちょく更新し続けるかもしれへんから、迷惑かけたらすまんのやけどな~)