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私の手も止まる。え? あの仮面は自前の格好付けての物じゃないの? それはそれでかなり気になるけど、仮面みたいなものは仮面じゃなかったの? 聞いちゃうと絶対、巻き込まれるよね。でも、もう知らなかったでは帰れなさそうだから、最後まで聞くか! 腹を括ろう。
それと私は話を理解していますけど、この世界の五歳児はこれくらい普通なの? 凄すぎない? それとも、私が五歳だった時のことを忘れすぎ? 五歳を侮りすぎでしょうか? まあ、いいや。考えても分からないしね。
「一度、下ろすが、逃げないでくれ」
「はい」
おや? 検証に入るの? ここまで来れば私をくっ付けていると、何か良いことがありそうだって言うのは分かりますよ。そう思っていると、足が床につく。久しぶりの感触! やあ大理石、久しぶり! ついつい、足の裏の気持ちになっちゃうよね。大理石かどうかは分からないけど、高そうな場所の床はそれくらいしか知らないの。
「っ」
痛くは無いのかな?
「大丈夫か?」
「ええ。何とか」
「痛い?」
つい、聞いちゃうよね。
「痛くは無いが、一気に重くなる」
「座るか? それともこの子にするか?」
ちょっと白ズボン皇子、その聞き方!! 湖に落とした物みたいになっているし、まあとりあえず足にでもくっ付いておきますか。
「感謝する」
えへ。頭、撫でられちゃった。それで絆されたりしないよ。
「効果が凄いな」
「端的に説明すると、私は呪われている」
うわー。やっぱり、ちょっと離れたくなっちゃうよ。けど効果覿面だから、距離を取るのは控えるよ。
「心配するな。呪いは移らん。グレゴリウスは俺を庇って・・・」
「そういう訳ではありません。要因が重なっただけです」
私の機微に気が付いたのか、説明した後、白ズボンさんが後悔しています。こう言っちゃなんですが、ありがち。黒ズボンさんは、白ズボンさんを守らないといけないですからね。仕方が無いと思うんです。それで黒ズボンさんは気にしていないと。気にしているとは言えないよね。けど白ズボンさんが原因を作った訳では無さそう?
「俺が進まなければ良かったんだ」
「誰もその先に呪いの元が待ち構えているとは思いません」
後悔は先にできないので、仕方が無いよ。はいはいっと。失礼だけど、ちょっと長そうなので割り込ませて頂きます。私がいない所で、二人で仲良くやってね。それよりも、どうして私が呪いを一時的でも退けられるかじゃない? 離れると駄目ってことは、解呪はしていないよね?