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のせてこっ  作者:
第六章 膝に
18/29

 逆説的に呪いのかけ方を学び始めました。そのため、資料館のような所に来ています。図書館と、博物館を合わせたような感じの石造りで重厚な建物です。これ、転んだら絶対痛いから気を付けて。ボコボコした荒い感じの壁に、逆に人が沢山通ったから真ん中が減っているつるつるになった床。でも、私は歩いていないから大丈夫。グレゴリウスさん、くれぐれも頼みますよ。

 二人で魔術関係の資料がある棚の前で立ち読みです。これまた石製の椅子と机があるのですが、私が座って小難しい本を読むと目立つので。ダミーに絵本でもと思ったら、ここには児童書はありませんでした。絵本っぽいのは古代の言語で書かれた資料だそうです。


「なかなか呪いをかけることは難しいようだな」

「はい。呪いを家業としていたんでしょうか」


 魔術的な素養と、呪いにまでもっていく精神力が必要らしい。意外と大変だね。静かな場所なので、こそこそ話します。結構、石が音を吸い取ってくれるのか、そこまで響いている感じは受けません。


「そういうこともあっただろう。呪いとお呪いは紙一重だ」

「そうですね。家業としていた家のことは調べても大丈夫でしょうか?」

「難しいところだな」

「お呪いは幾つもやろうと思えばできますよね。似たものと考えると、呪いも二つ以上かけられるかもしれませんね」

「確かに。呪いは、別の呪いを妨げるようなことは無さそうだ。逆に症状を悪化させそうだな」


 そうなんだよねー。それが心配。グレゴリウスさんをこれ以上巻き込んだら危ないし。今日は朝からくっついているから見ていないけど、右の手足の自由と顔に出る仮面。仮面だと思っていたのは、表情を固めてしまうようなものらしいよ。冷静で表情豊かな方では無かったから、気が付かなかったんだって。全体的に動きを縛る系の呪いだね。

 今日は終日、一緒にいてみようということになりまして。きゃっ。と、照れてみてもグレゴリウスさんの十代にも関わらず醸し出される貫録では、親子にしか見えないし。

 あまり進展はないけど、今日はこの辺で切り上げかな。外出中に私が寝ちゃってもお互い困るので、昼前には帰宅です。朝ご飯も美味しかったけど、昼もいつも通り美味しいよ。お腹がいっぱいになったせいか・・・。



「・・・マリナ嬢の子供らしからぬ様子は一体?」

「夫が亡くなった頃からでしょうか。今と変わらない受け答えをしておりました」

「子供と話しているとは思えないな」

「そうね。子供なのは体格だけかしら?」


 あれ? 私がいないというか、寝ている隙に密談ですか。皆さん気にしながら、黙っていてくれたんですね。そろそろ種明かしでもしましょうか。呪いをとくためのチームですからね。何がヒントになるか分からないですし。このメンバーなら大丈夫でしょう。

 あ、今日は離されて寝かされていなかったのは、秘儀を使ったからですよ。私の握力が物を言う、「洋服掴み!」。意識が遠くなりかかった時に、ぎゅっとグレゴリウスさんの服を握り込みました。作戦の勝利です。


「私、記憶があるの」

「マリナ、起きていたの?」

「ううん。今、起きたよ。皆さん、お帰りなさい」

「ああ。ただいま」

「ええ」

「記憶?」

「そうなの。一人の女性が産まれて死んだ記憶。それが私の中にあるの」

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