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のせてこっ  作者:
第六章 膝に
16/29

「こちらの生活に慣れれば、一日一緒でも大丈夫だと思います。ね。お母さん」

「・・・そうね。恥ずかしながら、マリナには随分苦労を掛けてしまっていたので。こんなに素晴らしい環境を頂ければ、体力が付くとは思います」


 母は心配そうだ。大丈夫だよ。父は仕事で亡くなった訳では無いからさ。馬車の事故だったそうです。


「お父さんは仕事に行って、疲れ切って帰ってきたことは無いでしょう?」

「え、ええ。でも、マリナは力が強いのかも・・・」


 父は呪いを抑えるような仕事はしていなかったとは思いますが・・・。大丈夫。掛け合わせだからね。力は強くなっているだろうけど、身体が耐えきれないって感じでも無いし。本当にちょっと栄養とかが、足りなかっただけな気がするんだー。力が強くて困ることは無いでしょう。逆に呪いを抑えられて良かったよ。


「健康的になれば大丈夫だと思うの」

「それならば良いのだが。無理はしないでくれ」

「呪いの原因って何ですか?」


 そろそろ教えて貰いましょう。


「よく分からないのが現状だが、青年の恨みのようだ」


 へー。青年で、呪いで、仮面。うわ。もしかして? ・・・中二病的な? 今度、皇子に聞こう。「モテるのが妬ましくて、かけられたんじゃありませんか?」と。グレゴリウスさんは、そういう所は疎そうだからさ。それに自分で「美男子だから呪いをかけられた」って言い難いよね。皇子なら言えそう。自分のことも、グレゴリウスさんのことも。

 これはグレゴリウスさんだけが察していないのかな? 他の人は分かっているから、原因とかをはっきり言わないの? ゲオルギウスさんとカサンドラさんは微笑みを顔に貼り付けている。幾ら自分の息子が格好良いと判定されたとしても、呪いをかけられるのは許せないよね。何もしてなくて、格好良いだけなのに。しかも呪いのお墨付きなんていらないね。


「生きている人ですか?」

「どうやら違うようだ。呪いをかけた後、スウッと消えてしまったように見えた。これは皇子も確認されている」

「何方かは分かっているんですか?」

「服装から年代は推測できたのだが、何処の誰かまではまだだな。それは呪いをとく手掛かりになるだろうか?」


 生霊の可能性も無くはないと思っていたのですが、どうやら大丈夫そうです。ちょっと前の時代の人のようです。


「分かりません。呪いをかけた人が完全に消えてしまったのなら、呪いも消えているような気もします。ただ、呪いに力を集中させたので、自分を保つことができなくなってしまった。その呪いのみとなってしまった人の気がすめば、とけるような気がします。推測ですが」


 呪いに自我のようなものがあれば、ですけどね。


「それも一理あるな」

「やれることはやっていこう」

「そうね。あなた」

「マリナ。呪いをかけた人が、どうすれば呪いをとく気になるかということね?」


 勝手な想像なんだけど、グレゴリウスさんがこっぴどく振られるなりなんなりすれば、とけそうな気もするんだよね。この呪い失礼ながら、ちょっとそういう根暗な印象を受けるんだ。

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