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のせてこっ  作者:
第五章 掌に
12/29

 朝食が終わり、天気が良かったので、お庭の説明と案内をしてくれるというお言葉に甘えて、楽ちん移動をしてました。油断していたのは、事実です。


「あなた!! どういうことなの!!! こんな目立つ所で!!!!!」


 四人とも穏やかな気持ちで庭の草木を見ていると、それを吹っ飛ばすような勢いの良い声が投げ込まれた。

 ええー・・・。なに? 何が起こったの? グレゴリウスさんの腕の中できょろきょろすると、真っ赤な人がいた。もしかして・・・、グレゴリウスさんのお母さん? お姉さんと言われても納得するようなエネルギーの持ち主ですよ。ゲオルギウスさんに盛んに噛みついています。あ、比喩ですよ。凄い口撃っぷりです。母は私達の後ろに逃げて来ています。良かった、無事ですね。

 唖然とする私と母に向けてグレゴリウスさんが口を開きました。


「母だ。・・・酷い方では無いんだが、色々悪いし残念なんだ」


 グレゴリウスさんの言葉には、全てが籠っていました。悪いの内訳は、タイミングと、間と、運と、巡り合わせで、残念は性格と能力だろうか。うん。先走って空回っているし、空気を読み損ねている。折角、良い物を持っているのにそれを残念にしているというのは断言できそうです。情熱的な真っ赤に波打つ髪で、紫の瞳の色気がある人だと思うし、多分、綺麗な人でもあると思う。お化粧と着ている物が、本人にあまりにも似合っていないので残念だ。それに輪をかけて残念なのは、地方の経営を任されるくらいに優秀にも関わらず、猪突猛進で、思い込みが激しくて、そうなると人の話を聞かなくなって、突発的なことに弱い所だとのこと。普段はこちらにいないらしいが、慌てて来てくれたらしい・・・。ゲオルギウスさんが浮気したと勘違いして。あらー。子供まで作ったと思われて、大変な剣幕である。


「私が愛しているのはカサンドラだけだ」

「!!!」


 流石、ご夫婦。一言で収めました。カサンドラさんは全身、真っ赤になって動きを止めました。


「母上、私も結婚以来、両親は相思相愛だと思っておりますよ」

「!! グレゴリウス、あなた! あなた!!!」


 今日、始めてグレゴリウスさんをしっかりと見たのでしょう。今度は色々な感情が渦巻いて、感極まったようにカサンドラさんはしゃがみ込みました。それを労わる様にお姫様抱っこをするゲオルギウスさん! 素敵―!!


 最初に説明を受けた部屋で、カサンドラさんが落ち着くようにというか、突風のように動き出さないようにソファーに座ったゲオルギウスさんの膝の上に横抱きにされています。眼福です。少女のように恥じらいながらも嬉しそうなカサンドラさんの、美しくも可愛らしいことと言ったら、この場面を切り取って飾ると、何時でもその絵の前で胸キュンしちゃうくらいです。わー。素敵なご夫婦。対する私もそれに近い体勢ですが、子供ですから。呪いを退けるお仕事をしている真最中といっても過言ではない、色気の無さよ。とほほ。


「妻のカサンドラだ。少々、そそっかしい所があるが、頼りになる」

「た、頼りになるなんて・・・」


 感極まってますけど、大丈夫でしょうか。逆上せきっちゃいそうですよ。

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