夜の会話パートは親密度を上げるイベントです。
前回は、エルフのリズさんと意思疎通できたかと思えば、王国のみなさんをからかう芝居という。とはいえ悪事を働くというよりも悪戯みたいなんですけど、冷静に国家騙してるわけですけど大丈夫なんでしょうかね?
暫くはこの王国に滞在するみたいなので、またちょくちょくとお会いすることもあるのでしょう。
そんな事より!ホントに意思疎通ができる相手がいたんです。人がいる時は色々とややここしいので、静かになった夜にでもゆっくり話しましょうとなりまして、初の夜パートです。
待望のよ・る・ぱ・あ・と!です!!
ゲームなんかでは、親密度上げる会話パートですね!選択肢によっては好感度爆上がりで、キャラクターによっては恋人になったりとムフフなシーンですよ!
まぁ、本と本が喋るんですけど……。
しかし、正真正銘の魔導書様――――――。
自分で、自分に様付けする人。実在するんですねぇ。
(う、うるせぇよ!この、魔導書モドキ!)
あ、聞こえてた。そうか、独り言出来ないじゃないですか、これ。
というか、モドキって。ファッション雑誌ですってば。
(しかし、いつも思ってたんだがお前誰と喋ってるんだ?)
いえ、特に誰とか無いですけど?聞いてくれてる人いますか?
いたら、いいねとか#転生雑誌 とかでツイートしてくれたら嬉しいんですけど。
(よく、そんなわけわからない事を延々と喋っていられるなお前……。)
とはいえ、この独り言で魔導書様(自称)と話をすることが出来たわけで。まぁ良かったのかなとは思っていますが。
(そんなもんか。んでお前は一体なんなんだ?他称、魔導書様?)
ですから、ファッション雑誌ですよ。封印なんてされてませんって。若い人向けに毎月新しい服装を紹介している本。ですかね?
(初めて聞くぞ?そもそも本とか貴重なものが毎月?若い人間向けに?どんだけ裕福な国なんだ?)
あ~。異世界から来たんですよ。私。
ここよりも大分文明の発達した世界で、本も貴重なものではなくありふれたものなんです。
(ほほぅ、異世界かぁ。くくっ、それは面白い事になってるな。しかし異世界じゃ喋る本がありふれてるとか、だいぶやべぇ所みたいだな。)
やべぇ所というのは否定しませんが、喋る本はありふれてませんよ。というか、聞いた事ないです。多分、喋って、ない……はず?
(じゃぁなんでお前は喋ってるんだ?)
なんででしょうね?異世界から来た時に喋れるようになったとしか。
女神様の加護とか?転生ボーナスとか?そんな経緯かなぁって予想してるんですけど、現状さっぱりですね。
(女神……ねぇ。まぁ神様のする事は訳が判らねぇって事か。)
ですねぇ。自称、魔導書様はなんで喋れるんですか?
(俺様か?俺はまぁ簡単に言えば生きた本だからだな。そういう風に元々造られてるんだよ。)
お~ファンタジーですねぇ。魂でも込められちゃった系ですか?
(……。よく判るな。そんな所だ。)
ぶっ。マジですか。そんな事できるのか。こわっ。
(適当かよ。切れるんか天然か良く判らないやつだなぁお前。)
頭いい方でお願いします。ん?魂って事はもしかして、名前とかあります?自称魔導書様ってのも長いですし。
(あぁ、あ~……。アルとでも呼んでくれ。)
アルさんですね。判りました~。私はアリアです。
(んで、お前はこれからどうするんだ?)
どうするって言っても、何にも出来ないんですよねぇ。面白おかしく暮らしたいとは思いますが面白おかしい状況に陥ってる感じです。
アルさんは何故ここに?
(俺様は封印されてるんだよ。そのせいで身動きが取れねぇ。)
え?封印されてなかったら身動き取れるんですか?
(そりゃ魔導書だしな。浮いたり、中に書かれてる召喚術式で魔物呼んだり色々と出来るぞ。)
おぉ。アルさんまじかっこいい。え、え。私もそれ出来ないですか?
(召喚術式なんてないんだろ?浮く方か?)
うんうん。浮いてみたい!
(しょうがねぇなぁ。こっちは魔力も何もかも封印されてるから、やり方だけ教えてやるよ。)
うわぁ。ホントあざっす!ようやく動ける!
(まずは、自分自身の魔力を理解するんだ。身体の中にある魔力の源を感じて……。)
ふむふむ。
(それを薄く全身に広げるように覆い、その魔力の膜を宙に浮かせる感じだ。)
……。
(後は、それをコントロールすれば自由自在だ!簡単だろ?)
ごめん。私魔力無い。
(じゃぁ、無理だ。諦めろ。)
くっそーーー!動けるようになるのかと期待したのに!
(くくくっ。そういや魔力無いのか。魔導書モドキだな。)
モドキって言うなぁぁぁっ!