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転生雑誌  作者: 狐の手袋
5/8

王の思惑

 今日も図書館スタートだと思いました?残念。今いるのは初日に王様と謁見した場所にいます。割と学者さんに丁重に扱われ王様の横に運ばれました。学者さんは冷や汗を流しながら緊張した面持ち。

 本日は、私の調査結果の報告をする日の様です。

「して、5賢のクラウスよ。何が判った?」

 名前クラウスさんというのですね。そういえば初耳かもしれない。しかし王様随分と前のめりですねぇ。未知の言語の魔導書ともなれば興味は尽きないか。

「そ、それが。恥ずかしいお話なのですが、まだ何も……。見るものを魅了する様な効果を確認しているものの、一切の魔力を感じず高度な術式が組まれているのではないかと。」

「其方の知見をもってしても、判らぬと?」

 おぉ。王様、ちょっと険しい感じになっちゃいましたけど。

「えぇ、我々としてはそれぞれのページに空間ごと悪魔を封印しているのではないかと仮定しております。また見た事のないものばかりで人知を超えた書物と言わざるを得ません。」

「ふむ。なるほど封印か。本物のように描かれているのではなく、本物というわけじゃな?」

「おっしゃる通りでございます。」

「なるほどのぉ……。」

 おや。難しい顔をして考え始めちゃいましたね。

「中を見た事による危険性はどうじゃ?」

「生気や魔力を奪われるといった事はありませんでしたが、エトナが魅了の魔術にかかったような様子がありましたので、休ませた事がありました。発動条件は判りませんが今の所危険な様子は無いように思います。」

 危険は無いという言葉に反応してがばっと立ち上がる王様。

「では、余が中を確認しても問題あるまいな?」

 そういうと、私を掴み少し興奮した様子でまた席に座り言葉を続ける。

「最初に中身を確認してからというものどうも気になっていてなぁ。やはり、未知の探求は心が躍るわ!」

 ん?

「それはあまりにも危険では?あなた様に何かあったら民はどうするのですか!?」

「なぁに同じ様に少し中を確認するだけじゃよ。」

 意気揚々と私をめくり始めた王様。……これもしかして、読むの楽しみにしてくれてた?嬉しさが込みあがってきそうな所で、気付いてしまったのです。

 ページによってめくる速度が違う事に……。

 具体的に言うと、モデルさんが載っているページの時だけめくるのが遅い事に……。こんのスケベおやじがっ!

 クラウスさんの心配や、民の事もうちょっと考えてやれよ。

 周りの人、何確認してるか判らんから、めっちゃソワソワしてるじゃんか。

 ホント、魔導書らしく呪ってやろうか?!

 と、無謀な王様に独り言で怒っていたら、当の王様のページをめくる手が止まり身体が硬直し、暫くするとわなわなと震えだすじゃありませんか。

 あれ?もしかしてなんかやってしまいました?

 ソワソワしていた人達が、ざわざわと話し始めています。クラウスさんに至っては、

「王よ!何かあったのですか?!お身体に何か?返事をしてください。王よ!!」

 取り乱しちゃってます。

 うわぁ、なんかとんでもない事になってしまった?

 心の中で右往左往していると、王様がぼそっと喋り始めました。

「……クラウス。」

「はっ。ここに!大丈夫ですか?」

「大丈夫だ。それより、確認したいことがある。心して答えよ。」

「は、はい。何でございましょう?」

「……先程、封印といったな。封印を解くことは可能か?」

「?!」

 ?!ええええっ?どうしてそうなった?!

「申し訳ありません。手段はまだ何とも。エルフより高度な魔術を使っている可能性もあり……。」

 いや、無いよ無いよ。写真だよこれ?

「しかし王よ!それはあまりにも危険では?!」

「お前には、ここに封印されている者がそんなに危険に見えるか?見た所、大半が女ではないか。男にしても優男ばかりだ。それに奴らの姿勢を確認しているか?」

 そういって、またパラパラとページをめくり男性俳優が載っているページを出しクラウスに見せる。

「首に手をあてておりますね。……まさかっ!」

「そう、こ奴ら首や頭部にかけて負傷しているとみたっ。練兵所でも見る姿勢じゃ!魅了の対策さえしておけば、王国の屈強な兵士に敵うはずもなかろう!」

 オオオオォ――――――

 感嘆の声が上がってますけど、実際に戦ったとして敵いそうもないんですけど。それ、別に負傷してるわけじゃないんすよぉ。

 このネタ異世界でもやるの?!

 というか、パラパラめくる前のページしっかり見てたぞ!女性モデルの見開きだったろ。さてはあんな感じのちょっと挑発するような美女がタイプか王様ぁ!

 駄目だろこの王様!クラウスさん達の心労を考えてやれよぉ。

「恐れながら、王よ。敵の力は未知数。何が起こるかも判らないのです。」

「無論慎重に事を進める必要はあるだろうが、話し合い分かり合えるのであれば、この者たちにこの魔導書に書かれていることを聞けるのではないか?」

「!なるほど。そこまでお考えでしたか。」

 いや、絶対そんな深い意味ないです。手籠めにしたいとかそんな話でしょぉ。

 王様とか初めて会ったのがこの人しか知らないんだけど、こんな私欲で好き勝手していいの?大丈夫?この国!

「そうと決まれば、善は急げだな。先程エルフより高度な魔術と言っていたか?」

「その可能性も。少なくとも我々の魔術体系では何も……。」

「では、近くのエルフの里に使いを送り、高名な魔術師に協力を仰ぐのだ。」

 欲って凄いな。しかしエルフ?マジですか。ようやくファンタジーな要素が出てきましたね。仲が悪いとかそういった事も無いのかな。

 何はともあれ、封印やら処分にすぐにはならなそうで安心。何かこちらからアクション取れれば良いんだけども、如何せん手も足も出ない。

 そういった部分も含め、エルフとだったら魔術的な何かで話が出来たりしないかなぁ。

 

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