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転生雑誌  作者: 狐の手袋
3/8

私って一体?

 妖艶な悪魔ファッションモデルを生きたまま封印されていると思われているファッション雑誌です。こんにちは。

 言ってみてなんだけど、一体何なんだ私って。いやただの雑誌ですけど。

 念願の読者層に読んでもらえると歓喜したのもつかの間、大分やばい代物と思われちゃってます。でもさ、こんな命を削る覚悟で調べてるエトナさん達見ちゃうと、王様のあの緊張感のなさよね。すけべって強いなぁ。

 で、相変わらず恐る恐る頁を開いてみてるんですけど、紙質やら印刷の精度なんかにも興味津々の様で。

「しかし、どんな素材で作られているのやらさっぱり見当もつきませんな。」

「えぇ。それにこの言語らしきもの。どうやって書かれているのかも……」

「我々の知らない技術。人の技術には思えませんが。」

「ドワーフの技巧か、エルフの魔術によるものでしょうか?」

 おぉ。ファンタジーな要素が。やっぱりいるんですね。ドワーフやエルフ。

 転生してからというもの図書館にこもりっきりですし、見たところ人間のような種族みたいだから異世界に来てた事忘れてましたよ。

 そういえば、異世界転生のお約束。まだやってませんでしたね。

 自分の事を知りたいときにやる、例のあれです。

 言葉は発せないけど、心の中で念じればいけるでしょう。


 ステータスオープン!


 さてさて、これで隠された能力なんかもつまびらかになる事でしょう。

 なんか枠小さい気もするけどさてさて読んでみましょうか。

 書籍:Ari-a 9月号 10代女子にバカ受け。最新のコーデで気になるあの人にアタックしよう!

 ……。おうふ。

 え~HPとか……。そうですか、理解しましたよ。これあれですね。

 キャラじゃなくて、アイテム扱いされてる?

 というか、フレーバーテキスト。いつの時代だこんちくしょう。

 もうちょっとナウい感じでせめて書いてよ!


 しかし……。アイテム、かぁ……。

 これって、「転生」って言うのかな?タイトル詐欺とかになってないか?大丈夫?いやでも、今の私は意思を持っているのです。話すことは出来ないけど、考える事は出来るのです。動くことは出来ないけど突っ込みはできるのです。傍から見たら本かもしれないけど……生きてるって思ってもいいよね?

 あ、ちょっとセンチになってきた。

 この方向で考え事するのやめよう。皆さんは何を討論してるのかなっと。

「しかし、これなんかも何の素材で出来ているんでしょうな。」

 あれ、まだ素材の話ですか?

「これほど見事な紅の素材など聞いたことも見た事もありませんね。」

 と、お。服の話?マジで?

「希少な染料なのでしょうか。少し羽織ってみたくなりまs――」

「エトナ殿?!」

「はっ。す、すみませんっ!」

「幻惑の魔術でもかけられているのでしょうか。少しお休みになった方が。」

「え、えぇそうさせてもらいます……。」

 判ってましたよ~。くっそぉ。魔術なんかないよ。こちとらただのアイテムだよ。呪われてすらいないよぉ。

 でも、なんだかエトナさんが服に興味を持ってくれて、ちょっと嬉しかったですね。あぁ、私はここにいていいんだって。生まれてきてよかったって……。

 生きてるのかどうかわからないただのアイテムですけども、やる事もないし暫くはこのまま皆さんの反応を楽しみにさせて貰う事を生きがいにしてみるのもいいかもしれないなぁ。

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