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転生雑誌  作者: 狐の手袋
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念願の読者ターゲット層との出会い


 う~ん……。暇だ。暇ですね。異世界転生して、はや数日立ちますが、日の入らない薄暗い部屋の中で缶詰。日中?に宮廷魔術師の方やら学者の方々が持ち出して、あぁでもないこうでもないと1ページ毎に真剣な面持ちでディスカッションですよ。

 付き合わされるこっちの身にもなって貰いたいってなもんで。

 大体、こちとらもっとカジュアルに読まれるために生まれてきているんですよ。

 50代前後のおっさん達が取り囲んで真面目な顔して覗き込むようなものじゃないんですがねぇ。

 あぁ、そういえばこっちの言葉を伝える事は出来ませんでしたわ。剣や魔法な王道ファンタジーな世界みたいなので、念話でも出来ないかなぁと試してみたんですけどね。

 ただ相手が話している言語は理解できるようで、日本語として聞こえてます。転生ボーナスとかいう奴ですかね。

 つまり、何が言いたいかというとですね。

 日本語で喋っているおっさん達が、日本語読めなくてファッション雑誌片手に難しい顔してうなだれている光景が目の前に広がってます。ホントカオス。

 おかげで退屈せずに済んではいますが、皆さん帰っちゃうと割と暇なんですよね。

 身体を自由に動かすことも出来ないし、夜は暗闇の中ただただ耐えるしか出来ない。

 声を発することも出来ないし、いつまでこの生活が続くのか判らぬまま。

 飢えは無いようだけれども、精神的には飢餓状態で。

 本棚でじっとしてます……。うん。締まらないなぁ。シリアスさんは留守の様ですね。


 まぁ、本ですしね。仕方もないのかなぁとかここ数日で思うようになりました。

 熱心に見てもらえるってのも悪くないですしね。ポイ捨てとか絶対だめです。


 とか思いながら今日もいつも通りの日課が始まるのかなぁと思っていたんですが、なんとここへ来て新展開ですよ。編集長!

 ついに、ついに……。ついに!!

 念願の読者ターゲット層のご登場です!

 20代前位ですかね。いかにも頭良さそうで運動できなそうな美女が!奥から歩いてくるじゃないですか。こちら側にいる昨日まで来てたおっさん達が話しているのを要約すると、

 凝り固まった老いぼれの考えばかりではなく未知の魔導書に挑むのだから若者の意見も参考にしよう。って事みたい。グッジョブですよ~。

 しかし、呼び出すにあたりなんて声かけて呼び出したのか……。

 遠くからおぼろげにしか見えてなかったけど、結構顔色悪いんですけど?大丈夫なのかな??

 隣にいる学者さんと何やら話しているようだから、ちょっと耳を澄ませて聞いてみましょ。


「何分、急に呼ばれたので魔導書の解析に加わるとの事しかお聞きできていないのですが。」

「うむ。読む事さえままならぬ。未知の言語で書かれた魔導書になる。お伝えしているように解析できた場合、最悪は命の危険もあるかもしれぬ。」

「そこまで、強力な魔導書なの……ですね」

「心して取り掛かって欲しい」


 ――待て待て。

 最悪命の危険って……。ねぇよそんなの。もっと気軽に読んで欲しいんだよぉ。

 編集長~。今日も駄目かもしれませ~ん。

 なんでこんな曲解されちゃったのかなぁ。んで、美女さん。もうなんか断頭台登るような面持ちで近づいてきてるしさ。決心でもしてるのかな?こっちしっかりと確認する前に、目を閉じちゃってるし。

 少し、静かに時間が流れて決心付いたのかうっすらと目をあけ、さっきまでの青ざめた顔から一転。

 湯気でも出たんじゃないかと思えるほどの赤面に一瞬で変わったんですが。

 で、口をパクパク言葉にならない声をあげて、なんだこの子めっちゃ可愛い。とかにやけそうになった瞬間。何かに気付いたのかひっ!と短く声をあげまた血の気が引いていく……。

「エトナ殿。お気を確かに。大丈夫ですか?」

 見かねた隣の学者のおっちゃんが声をかける。エトナさんっていうのか。

「え、えぇ。あまりの事に驚いてしまっただけです。」


 というか、え?え~~~どういう反応なの……?

 いや、前半の赤面はたまに見た事あるやつよね。うぶな女の子が思ったより露出の高い服装に赤面するとか、そういうやつでしょ?エトナさんの服装や、これまで見た事ある人達の服装からして、あまり肌を見せる様な文化が無さそうなのは判ってたけど。

 後半の青ざめ方は、一体……?

「もしや、この悪魔は封印されている、のですか?」

 え?

「エトナ殿もそこに至りましたか。」

 ん?

「は、はい。しかし……この悪魔。なんと妖艶な格好で……。女性の私でも少し刺激が。それに、にこやかにこちらを見つめ笑ったまま封印されているだなんて……。なんだか吸い込まれそう。」

「エトナ殿っ!なりませぬぞ!」


 あ~。あれですか、写真とかそういった文明がもしや存在しておりませんでした?

 で、表紙のモデルさんがここにいると思い込んでおられる?

 さらには、モデルさんの事、悪魔て。いやどっちかというと小悪魔系だから近いけど。

 言葉は近いけど。お互いの想像しているものが全然違いすぎる。

 あれか?たぶらかしてるみたいなノリなのか?そんな事無いよぉ。そんな訳……なくも、ない気がしてきた。いやいや、しかし悪魔と封印と来たか。参ったな。

 そんな事言い出したら、めくって行ったらどんだけ悪魔封印した書物って事になるんだよ。それこそ禁書みたいなノリじゃないか(笑)

 あ、分類魔導書か……。あぁ、そうかぁ。(納得)

 モデルさんの綺麗さ。異世界でも通じてますよ。編集長(現実逃避)


 てな具合で、夜はまぁ暇だけど日中は中々楽しさに溢れているようです。

 とはいえ、これ日本語解読されたりとかしないよね?真実を知ったら火あぶり(焼却処分)とかされそうで怖いんだけど……。大丈夫だよね?

ここまでお読みいただきありがとうございます。

シリアスな作品と違って、筆が進む進む…いい事ではありますが。

実際、本とかが非常に高価で一般的ではないような世界に今どきの雑誌が現れたらどうなるんでしょうね。

魔導書とか言われることはないと思いますけど

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