私の使命 エピソード④-1
私の名前は夢見 咲子。。。
私の使命は、この世に未練を残したまま命が尽きようとしている人たちに夢の中で夢を叶え、穏やかな死へと導くというものだった。
私に会えるかどうかは運しだい。。。
さて、今宵は、だれの夢に呼ばれるのだろうか?
------
彼女の名前は田中 吉江52歳。
彼女の夫は20年前に30代の若さで亡くなって以来、女で1つで2人の息子を育ててきた。
息子たちがようやく社会人になったので吉江はやっと肩の荷が降りたと思っていた。
吉江はまだ50代だったので第2の人生を送るのには時間がたくさんあったのだ。
だが、夫が亡くなって以来がむしゃらに頑張ってきた吉江は自分のために何をしたらいいのかわからなかった。。。
そんな中、息子たちが内緒で貯めていた給与で吉江に海外旅行をプレゼントしてくれたのだ。
吉江は海外旅行など行ったこともなく戸惑っていたが、せっかくの息子たちの好意だと思いきって行ってみることにしたのだ。
吉江は夫といつか行こうと決めていたオーストラリアに行くことにしたのだ。。。
いよいよ、明日出発を目前に吉江は突然自宅で倒れたのだ。
救急車で運ばれなんとか一命を取り留めたのだったが、意識は戻らない。
急性くも膜下出血だった。。。
吉江の夫も突然自宅で倒れ、そのまま帰らぬ人となったのだった。
息子たちは、母の目が覚めることを願っていた。。。
吉江は夢を見ていた。。。
夫と海外旅行に行ってる夢だ。
ふたりはまだ若く、結婚当時お金もなく、新婚旅行に行けなかったので、いつか子供が大きくなったら2人で行こうと行っていたのだった。
ん??吉江の夢は叶っているのに、なぜ私は吉江の夢の中にいるのだろう。。。
他になにか夢でもあるのかなぁ?
吉江に尋ねてみた。
あなたの夢は何ですか?
私の夢はいつか夫と2人で海外旅行に行くことだよと。。。
やはり、その夢は夢の中て叶っている。
私は何をすればよいのだろう。。。
息子たちの声が夢の中に響いていた。
「お母さん、お母さん」
「元気になって海外旅行に行くんでしょ!」
「目を覚まして!!」
もしかして、吉江の願いは生きることなのでは?
だが、その願いは私には叶えられない。
はずだった。。。
だが、吉江は息子たちの声に反応するかのように目を開けたのだ。
先生がもう大丈夫ですよ。。。お母さんは山を越えましたよ。
あれ??
私は死を目前にした人の夢の中にしか入れないはずなのに。。。
吉江はあれからどんどん元気になり、2人の息子たちとともに海外旅行に行ったそうだ。
これから第2の人生の始まりだ!
吉江は現実で幸せを手に入れたのだった。。。
私の使命は一体何だったのだろう。。。