私の使命 エピソード②
私の名前は夢見 咲子。。。
私の使命は、この世に未練を残したまま命が尽きようとしている人たちに夢の中で夢を叶え、穏やかな死へと導くというものだった。
私に会えるかどうかは運しだい。。。
さて、今宵は、だれの夢に呼ばれるのだろうか?
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彼女の名前は雪子。20歳。
雪が降り積もる日に生まれたから雪子と名付けられたそうだ。
雪子は純粋な心の持ち主て色白でスラッとしてキレイな顔立ちをしていた。
町で一番の美女だった。。。
隣町の圭介と結婚することが決まっていた。
雪子は、お嫁さんになる日を楽しみにしていた。
ところが、圭介の幼馴染みの鈴は自分が圭介のお嫁さんになると思っていたので雪子にひどく嫉妬していた。。。
ある日、鈴はこう思った。
雪子が醜い顔になればきっと、圭介は雪子のことがキライになるはず。
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ある日、鈴はだれもいない山小屋に雪子を呼び出した。
何にも疑うこともしない雪子は言われるがままに、1人で小屋に向かった!
そこには見知らぬ男が2人いた。
そのうちのひとりが雪子を押さえつけるともうひとりの男が雪子の顔面に硫酸をかけたのだ。
雪子の顔はみるみるうちに溶けていき、雪子そのまま気を失った。
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雪子はなんとか一命を取り留めたが、まだ意識は戻らない。。
それから何日後かに雪子は目を覚ました。
そして、自分の顔を見て絶望した。
とてもキレイだった顔は、ひどくただれて醜いものになっていたのだ。。。
雪子はこんな顔では圭介と結婚なんてできない。合わす顔もない。
もう死にたい。。。
そんなことばかり考えるようになり、雪子は自殺を考えるようになっていった。。。
そしてついに雪子は首を吊った。
なんとか一命を取り留めたのだが、目が覚める可能性は低いとのことだった。
雪子は夢を見ていた。。。それは覚めることのない繰り返される悪夢でしかなかったのだ。
そんな中、私は雪子の夢の中に呼び出された。
夢の中の雪子は現実世界と同じ醜い顔で何度も何度も絶望し、自殺を繰り返していたのだ。
夢の中でさえ、終わることのない苦しみに悶えていたのだ。
私は雪子に話しかけた。
この苦しみを終わらせないかと。
雪子は大粒の涙を流しながら小さくうなづいた。
そして、私は彼女の願いを尋ねた。
彼女はただ平凡で幸せなお嫁さんになりたいだけだったのだ。
簡単に叶えることができそうな願いでさえ、ふとしたことで絶望に変わってしまう。。。
現実というものは本当に恐ろしいものだと改めて痛感した。
そして、私は彼女の願い通り、夢の中で純白のドレスに身を包み、愛する人と幸せな結婚式を上げる夢を叶えてあげた。
彼女は、涙を流したまま、息を引き取った。
この涙は幸せの涙だったのだろうか。。。
涙の意味は彼女にしかわからない。