人は最後に何を願うのか?その答えは本人にしかわからないのだ。
私の名前は夢見 咲子。。。
私の使命は、この世に未練を残したまま命が尽きようとしている人たちに夢の中で夢を叶え、穏やかな死へと導くというものだった。
私に会えるかどうかは運しだい。。。
さて、今宵は、どんな人の夢に呼ばれるのだろうか?
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彼は峯岸 健、17歳、高校2年生。。。
サッカー部のエースで、将来有望と言われていたが、ある日体調を崩し病院に行くと末期のがんだと宣告された。。。
彼はひどく落ち込み塞ぎ込んでいた。
ある夜、彼の夢の中に呼び出された私は、彼が本当はもっともっと活躍をしてプロのサッカー選手になりたい!と強く願っていることを知った。
彼の命は幾ばくもない。
彼は「どうせ死ぬのならせめて、幸せな夢を見たまま眠りにつきたい」と言った。
私は彼に言った。
「その夢、夢の中で叶えて差し上げようと。」
こうして、彼は死ぬまでの数日間、昏睡状態に陥った。
その間、彼は夢の中でプロのサッカー選手になり、だれよりも活躍をし、有名になったのだ!
夢の中の彼は生き生きとしていた!
まるで、彼が生きていれば将来そうなるかのように夢の中で夢をどんどん叶えていったのだ!
そして、彼は穏やかな表情のまま、まるで眠っているかのように息を引き取ったのだ。
彼の人生は本当にこれでよかったのだろうか。。。
私は、夢を見せることはできても命を与えることはできない。
私の使命の目的は何なのだろうか。。。
これから、出会う人たちにどんな意味があるのか今の私にはまだわからなかった。。。