1.異世界
「死にそう...」
テルはそう言いながら、地面に倒れていた。
花の香り、樹木の香り、そして腐った葉っぱの匂いが混じって、森の特有の匂いがする。
「悔しいなぁ、ここで死ぬのは..」
全身の倦怠感を感じて、もはや指一本動かせないだ。
それに、よくわからないが、全身傷だらけであった。
せっかく良い夢を見たのに、すぐに死ぬのは嫌だ。
テルはさっき見た夢をまた思い出す。
地球という惑星、変な機械、文化、音楽、食べ物。
まるで実体験のように経験したのだ。転生したのではないかと思う。
しかし、こちらの世界についての記憶はないが言葉は使える、本体はこっちでただ夢を見た気もする。
胡蝶の夢だな...ハッハ
さて、残された時間は少ないから、目を閉じよう。
その時、何か足音を聞こえたような気がした。
獣かもしれないが、どうしようもないので賭けてみることにした。
最後の力を振り絞って、
「助けて!!」
...........
「団長!何か音がしました!」
森の中で、十数人で構成された集団の中の一人がそう言った。
「イノシシ、聞き間違えたのではないか、こんな森林の中に。それに罠かもしれないし。」
もう一人の全身鎧の男が困惑そうな表情をした。
「どの方位だ。」
一番前の男がそう言って立ち止まると、この集団も一斉に立ち止まった。
「こっちです!」
イノシシと呼ばれた男はそう言って、そっちに向かった。
残りの人もついて行くと、倒れた子どもが見つかった。
集団の一人が観察してから、
「魔物に襲われたかもしれません。まだ息はあるが、そろそろかもしれん。」
「助かるのか?」と団長は眉をひそめる。
「どうかな...」
「こいつ!魔法使い見習いみたいです!」
一人の瘦せた男が言う。
団長はそれを聞いて、すぐに決断を下した、
「助けよう!」
この少年はまだ十歳を超えてないようだ。
魔法使い見習いの第三段階と見る。
このままいけば、きっと第十段階を達成して、立派な魔法使いとなる...大魔法使いになる可能性もある。
ここで恩を売るのは悪くない。
それにこの年で魔法使いになれるのに、両親といい、師匠といい、その背景もすごいはずだ。
この世界では戦士と魔法使いしか存在せず、魔法使いになる素質は百人に一人で、多くの資源を必要としているため、戦士の数は魔法使いの千倍を超えている。