序章
無限の暗闇の中に光は一切存在せず、どこまでも広がっている無限の水しかない。
しかし、この暗闇の世界では海でさえ闇に染められているのだ。
ただ一つ、言葉で表せないものが水面に立っている。
光る玉のようで光の玉でない。そもそも時間や空間が作り出されていないここでは、時間や空間についての理解から生まれた言葉はこの“もの”に適合しないだろう。
強いて言うのであれば、“神”である。
神は過去に存在するかもしれないし、未来に存在するかもしれない。この場に存在するかもしれないし、この場に存在するかもしれないかもしれない。曖昧で捉えることができない。
数学やロジックでは説明できない。“一”であり、“無限”でもある。
今日という概念はまだ存在しないが、今日の神も、世界を創ろうとしていた。
「光アッ」
『ドン!!!!』
水面から突然黒い玉が飛び出してきた。
この突然現れた黒い玉に、神も困惑して創世を止めたが、すぐにその存在を理解できた。
「なるほど。」
神の声は始終、穏やかであった。
黒い玉は神の方を見て、そして襲う!
黒い玉と光る玉と交わり、すぐに消え去った。
そして、水面からもう一度黒い玉が飛び出し、再度神と交戦した。
そして、すぐに消えた。
しかし、神にとっては新鮮であった。この空間に現れた生物はこれが初めてで、意図的に創り出した生物ではないのだから。
黒い玉は生まれてきたばかりで、とても弱いが、死という概念はないのである。
死は黒い玉にとっては寝ることを意味し、起きたらまた普通の状態に戻るのだ。
それでも神は黒い玉を抹消できるのだ。
神は全知全能であるから。
全能者は《重すぎて何者にも持ち上げられない石》を作ることができるか。
できる!!
神は持ちたければ持てるし、持ちたくなければ持ち上げれない。
論理では説明できない。論理が無意味になる。
それでもよい!それで構わない!
しかしそれではつまらない。面白くない。
そう考えた神は、ただ黒い玉を何度も倒した。
二つの世界を創り、黒い玉を挟んで圧迫して殺した。
二つ目の黒い玉を召喚して、現在の黒い玉を殺した。
時にはビームを発射して殺した。
しかしそれでも、最初の黒い玉は死ななかったのである。
何千年も、何万年も、何億年も......
無数の時間が過ぎた。
黒い玉はその間に知性を宿し、“海”の下を感じるようになった。
そして、いつの間にか動きを止めた。
神は面白そうに黒い玉を見つめた。
黒い玉は“人間”の形に変化し、初めて口を開いた。
「クククッ、神は人を愛している。神は人似てきた。」
黒い玉は人間に変化しているが、その前に神も人間に変化していたのだ。
神はそれを気付いていたが、気にしなかったのである。
黒い玉は元の姿に戻り、また突然神に襲い掛かった。
神も今まで通り、手を挙げて止めようとした...
黒い玉はまた殺され、再び海から飛び出してきた。
今度こそ、笑いを止めなかった。
「クククククククク!!!!」
神の指から金色の血が流れた。神の指に傷がついたのだ。
黒い玉はその瞬間に何度も殺された。
「神よ!ますます虫に似てきたなあ!」
黒い玉は海の下を感じるときにすでに察したのだ。
未来の神、過去の神。どこの瞬間かはわからないが、神は人を愛するようになったのだ。
神は人間を愛し、その姿も人間になっていた。
神は人間に似てきた!神は不完全になったのだ!!
神は神でなくなった。
これは止めれることだが、神は止めようとしなかった。
神も黒い玉が何を意識したのかを察して、口を開いた、
「“悪”よ。神に人間の感情を持つことは何を意味すると思うか。」
“悪”はまた人間の形に変化した、その姿に自信と傲慢にあふれていた。
「それは虫けらが神の力を持つ事を意味する。虫けらは虫けら、いくら強い虫けらでも大きな虫けらにすぎん。神の力を持つ虫けらでも、虫けらの神だ!!!」
神は突然動きを止め、すぐに“悪”の方を見た。
それを見た“悪”はまた声を発した。
「一瞬だが、やはり我が支配する力に影響されたか。予想通りだ、神は虫けらの力の感情を持つと、全能ですらなくなったのだ!」
神は何も返さなかった。
悪は海の下、無数の世界を見て、
「ククク!神よ!一つ賭けをしてみないか。」
.....
気分で更新します