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第3話 ハーピーの毒
陰惨という言葉が似つかわしいほどの愚行を行っているこの村の村長をこのまま黙って見逃しておくわけにはいかない。タウロスはナインテールを救うため、村の近くにある浜辺にやってきた。そこでは人間の死体に群がるハーピーの群れがいた。タウロスはたいまつに付いた火を恐れているハーピーを投げナイフで適当に二、三匹倒し、その場で毒を精製するための道具を取り出し、薬物を作り出すことに成功した。
薬の作り方はこうだ。まずハーピーの腹を割き、毒袋を取り出す。取り出した毒袋をハーピーの肝と一緒に擂粉木で潰す。あとは乾燥させれば出来上がりだ。肝も一緒に混ぜないと、毒が効きすぎて命を落としかねないので中和する目的で肝も合わせて調合する。
タウロスはすり潰したハーピーの毒の入った掌に納まるほどの小さなすり鉢を火であぶって、湿った粘り気の残った毒を一気に乾燥させた。
これさえあれば、ナインテールは解放される。タウロスは自分の行為に疑問を感じながらも、ハーピーの毒を持って村へと戻った。