第5話 再会(アンジュ視点)
第5話で終了予定でしたが、もう少し続きます。
そして、新学期の入学式を迎えた。
私の方を向いて小さく手を振るリンに手を振り返した後、リム先生を探した。大きな桜の木の下で新入生を見守っている姿を見つけた私は思わず、小走りで向かってしまった。
「リム先生!お久しぶりですわ!」
正直、緊張していたが、普通に話し掛けられたと思う。多分。
「アンジェリーナ様、お久しぶりですね。他の先生方やリンさんから、貴女が医療科の臨時講師として雇われたと聞いてますよ。これからは同じ講師として宜しくお願いしますね。」
なんか「同じ講師として」っていう言葉を強調して言ってる気がする。何か面白くない。
「こちらこそ、これから末永く宜しくお願い致します。ただ、先生?もう先生と生徒という関係では無いのですから、『アンジュ』と呼んで下さいな。」
同じ講師としてでは無く、異性として見て欲しい。そう想いを込めてリム先生にお願いしてみた。
「…分かりました。アンジュ先生。アンジュ先生は医療科の臨時講師と聞いているので会う機会もあまりないと思いますが、困った事があったらいつでも相談して下さいね。先輩として相談に乗りますから。」
……「アンジュ」と呼び捨てでも良かったのに。それに会う機会は勝手にこちらで作るので大丈夫ですよ?それにしても…相変わらず先生は優しい。あんだけ学生時代からかってきた生徒でも優しくしてくれる。改めて惚れ直してしまった。
そこで私は思い切って、顔を彼の耳元に近づけ…
「ありがとうございます。ダーリン♡愛してますわ♡」
…と言い残して、エミリーの元へ走って逃げた。走ったせいか、かなり身体は熱かった。
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エミリーは一部始終見守ってくれていたらしく、かなりニヤニヤ顔で迎えてくれた。
「エミリ~……またやってしまいましたわ。」
「どうしたの?アンジュ…。あぁ…また冗談めかして告白したんでしょ?まぁ、元気出して!この後何度でもチャンスはあるわよ。」
「そうかしら?」
「そうよ!……さぁ、これから武術科、魔術科、医療科3学科合同女子会へ向かうわよ!」
「何それ?」
「あら?言ってなかった?毎月1度、3学科の女講師で女子会するのよ。女性講師は人数も少ないからこういう機会を作って一致団結しましょ、って訳。今日は貴女の歓迎会も兼ねてるけど、職場恋愛事情とかも情報収集出来るわよ。さぁ、行きましょ!」
そう言われ、エミリーに女子会会場である呑み屋に連れていかれ、思いっきり飲まされ、酔った勢いでリム先生への想いを暴露させられた。
多くの女性講師に「あのロリコン教師がいいの?大丈夫?」とか心配されたが、最後は皆、私の恋を応援してくれることになった。本当に心強い。