そういえば…何してたんだっけな?
雲の隙間から差し込む太陽の光を受け、キラキラと水滴が光を反射し、より一層美しい紫陽花を横目にデカい声が響き渡る。
「20XX年8月26日、なにわ世界会館でデビューします、スバル17歳、高校2年生です!よろしくお願いします!!最高に熱いハイフライヤーになりますので応援よろしくお願いします!!」
坊主頭で、上半身は裸、黒いパンツに黒いリングシューズ姿の男が緊張した顔でカメラの方を見て大声を出している。
オレ 風野 昴 は、本日の試合会場である【なにわ世界会館】のレンガ調の玄関先で、動画撮影をしていた。
今日デビュー戦という事で事前に自己PRの動画撮影をしている。
所属している『大阪新世界プロレス』のホームページと世界的動画配信サービス『YOUTU BEE』にアップするためだ。
「昔と違い、動画は今や当たり前のように活用されるようになった。
誰もがスマホにあるカメラで気軽に撮影ができ、編集も容易になった今だから出来る、今一番ポピュラーな宣伝方法だ。
ふた昔前なら結構な額のカメラや機材を買いテープで編集していたが、ノンリニア編集さまさまだな。写真はフィルムも要らない、編集ソフトもスマホの中!一般人にはホントいい時代になった!」
なんて親父が言っていたな。
「なんのこっちゃ?」と聞き返したのはいつの話だったんだろうか…。
なんでこんな事を思い出してんだ?
それにしてもさっきから頭がガンガンする…風邪か?
と、思ったところで、目を開く…。
おぅ… またも見知らぬ天井…。
んっ…?
「って、オレの試合…、デビュー戦どうなっ…グエッツ!! ゲホゲホ!!オゥエッ…」
そう言いながら慌てて起き上がるが頭痛と喉に痛みがひどいし声が出ない…。
「5分19秒 ラリアットからのエビ固め 自分の負けや」
と、言いながらガッチャっと扉を開いて入ってきたのは、先ほどリングで氷嚢をもっていた同期だけれど年上レスラー谷崎さん。
「いやぁ~~デビュー戦で意識失うってホンマ見たことないわ。知らんけど…」
と、ニヤニヤ笑いながらスポーツドリンクのペットボトルを渡してくる。
「知らんのかい!!」と突っこみたいけど、思ったように声が出ないので、とりあえず胸元に「なんでやね~ん」と、漫才師のような突っ込みポーズでチョップしてやろう!
筆者は生粋のヒールでもルードでもないので、ブーイングには過剰に反応してしまします。
デビュー間もない新人レスラーを見守る感じで読んでいただけると嬉しいです。
とりあえずまずは10話まで1日更新頑張ります!!
ここまでお付き合い誠にありがとうございます!!
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