いよいよ。
とりあえず、住む場所も決まり、「では、最後の確認をしていきましょうか?」とシアが話し出す。
「何か必要な物や、欲しい物はありますか?以前とは違う環境になりますから、何かと不便になると思いますが…。」
欲しい物…。うーん、食料、調理道具とか?あーでも、日用品も…。
「正直…欲しい物がありすぎるんですが…。」
「どういった物ですか?」
「えっと、食料…はどうにかなるかな…。調理道具…調味料も…後、シャンプーとかの消耗品…とか?」
「そうですね…、あちらでは普通に手に入っていた物でも、こちらにはない物が多いですから…。では、こうしましょう。シズクさんが住んでいた家にある物をこちらに持ってきましょう。」
え?いいの!?
「いいんですか?」
「えぇ、元はといえば、私のせいですから…。出来る限りのことはします。調理道具については、電気ではなく魔力で動くようにしましょう。よく使っていた物や、あちらにしかない物には特別な効果をつけておきますね。…後は、野菜などの植物については、種を差し上げますので使ってください。」
「ありがとうございます!」
「いえ、せめてもの罪滅ぼしです。…シズクさんには本当に申し訳ないことを…。」
シアはゆっくり頭を下げ、再び謝罪する。
「もう、気にしないで。頭を上げてください。こんなに色々親切にしてくれて…感謝してます。本当に、ありがとうございます。」
私はシアに微笑み、シアも泣きそうな顔で笑い返してくれた。
しばらくして、シアが寂しそうに笑う。
「…では、そろそろお別れですね…。」
お別れ…シアに会って、あまり時間はたってないけど、やっぱり寂しものだな…。
「もう、会うことは出来ないんですか?」
「えぇ…おそらく…。私はここでシズクさんを見守っています。」
「そっか…。なんだか寂しいですね…。」
「私のかわりと言ってはなんですが、シズクさんのことを伝えておきますので、何かあれば頼りにして下さい。」
「誰にですか?」
「ふふっ、そのうち何人かは様子を見に来るでしょう。」
教えてくれないのか…。
「分かりました…。楽しみに取っておきます。」
「えぇ、では。シズクさんの身体をお見せしましょうね。」
シアがそういうと、私が寝ていたベッドに女の子が現れた。
髪は薄いピンクで、まだ少し幼い顔立ちをしている。
「髪はシズクさんが好きだった桜をイメージして、目はシズク(水)という名に因んで水色に…。こちらにはいろいろな色の髪や目の人がいますから、目立つことはありません。いかがでしょうか?」
「…かわいいと思います。」
うん…美少女って感じだ…。
「ふふ、よかったです!では、目を閉じて、次に目が覚めた時には[リーリシア]です。私の世界をどうか楽しんでください!」
「はい…。行ってきますね!色々とありがとうございました。」
お辞儀をして、私は少女の隣に横になり目を閉じた。すると、だんだんと意識が沈んで行く。
「最後に私の加護を差し上げますね。では、行ってらっしゃいませ…。」
シアが何か言ったようだが、私には分からなかった。聞き返すことも出来ず、プツリと意識が途切れる。