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話をしようね?

さて、魔王たちは帰ったしフローラたちの話を聞きますか!


「みんな、もう出て来てくれる?」


そう声をかけると、順に影から出て来る。

ウィーナはまだ不機嫌そう…。他のみんなは…普通、かな?

……いや、不機嫌とは違うけど、空気が少し重いような…。

クアだけは、状況が分かっていないのか不思議そうだ。


とにかく、ちゃんと話し合わないとね!


「えっと…。」


…うーん、意気込んだものの、何をどう聞けばいいんだ?そもそもなんでこうなったんだっけ?

えーと、城に泊まるって話になって、ウィーナが反対して不機嫌になって。

でも、それは私の心配をしてくれたからで。

……出て来なかったのは、みんなもウィーナと同じ考えってことだよね?


とりあえず、私が1番に言わなきゃいけないことは。


「ウィーナ。さっきはありがとね。」


「…え?」


礼を言う私にウィーナは戸惑う。きっと怒られると思っていたのだろう。


「心配してくれたんでしょ?だから、ありがと。」


この先、魔族との関係を考えるなら、本当は怒るところなんだろうけど、私を危険から遠ざけるための行動だ。頭ごなしに怒ることは出来ない。でも…。


「私のことを考えてくれたことは嬉しいよ。…でもね、魔族の人達とは出来るだけ仲良く、穏便に接したいの。なんでかは分かる?」


ウィーナと視線を合わせるようにして、優しく問いかける。

ウィーナは少し下を向き、考えるように視線をさ迷わせ、恐る恐るといった感じで顔を上げ答えた。


「………。この世界のこと、私たちは知らないから?」


首を傾げ、「あってる?」と視線で問う。

よく出来ましたと、ウィーナの頭を優しく撫でる。


「うん、そうだね。私たちはこのリーリシアがどんな世界で、どんな種族がいるのか、文化や風習。それにこの世界の常識も知らない。知るためには自分で調べるか、誰かに教えてもらうかだけど…。どちらにしろ、この国にいる間は魔族の人の協力は不可欠でしょ?」


リーリシアのすべてを知る、というのは無理だろう…。せめて私たちが暮らすのに必要な知識は得ないといけない。

まぁ、時間はあるんだから、少しずつ知っていけばいいんだけど。

当面はこの国で暮らすことになるだろうから、魔王や幹部に愛想を尽かされないようにしないと。上層部を敵に回せば、魔族全体が敵になるのは目に見えてる。


「それは、そうだけど…。でも、イヤだったんだもん!シズクのこと何も知らないくせに!」


悔しいと怒るウィーナ。

城内での魔族たちからの視線。…いや、街でも、か…。一日中向けられた負の感情が込められた視線。好意的なものはとても少なかった…。


でも、最初からよそ者を受け入れるのは無理に決まってる。種族が違うなら尚更…。


「ウィーナ…。大丈夫、これからだよ。私たちは少しずつこの国のこと、人のことを知っていくの。それと同じで、相手も私たちのことを知っていく。今日がダメでも明日、私たちを受け入れてくれる人が増えてるかもしれない。明日がダメなら次。少しずつでも関わりを持っていけば、今日みたいな蔑むような視線で見てくる人は減っていくはずだよ。」


「…そうだとしても、その間は?今日みたいに見られてシズクは平気なの!?シズクは何もしてないのに、まるで厄介者みたいに!」


「…そうだね。一人なら堪えられないかもしれない。でもね、私にはあなたたちがいる。大切な家族が…。帰る場所があるんだから大丈夫だよ。」


ね?と微笑み、そう思わない?と問う。


ウィーナは目を見開き、数度瞬くと私に抱き着く。


「そうよ!私たちが一緒にいるもん。絶対、絶対何があったってずっと一緒だからね!」


「ふふっ、うん。頼りにしてるよ。みんなもね。」


私たちを見守るように周りに立つ子たちに、ウィーナをなだめながらも視線を向ける。


頷いたり、微笑んだりと反応はそれぞれ違うけど、分かってはくれたみたい。

よかったと胸を撫で下ろしていると、ベリルが一歩前に出た。


「シズクの考えは分かりました。…ですか、一つ意見を言うなら幹部たちはともかく、魔王とは関わらない方がいいのでは?」


「どうして?」


理由が分からず首を傾げる。


「魔王だからですよ。ただでさえ、ヒューマンだからと良く思われていないのに、自分たちの王に取り入ろうとしている、などと思われたくはないでしょ?」 


まぁ、確かに…。普通に考えれば、王に会って話を出来るのは魔族の中でも限られた一部の人だけだろうし、たかがヒューマンの分際で!って恨まれる可能性はある…。


「……うん、そうだね…。火種は作りたくないし、なるべく関わらないようにするよ。」


そう言ったものの少し寂しく感じる…。3日間一緒に居たからかな?

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