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安心の我が家

大人しく魔王の後を着いて行くと、しばらくして裏庭に出た。


庭に出て、止まった魔王の後に私とギル。

そして私たちの後に、ルシエル、ルーク、ダン、ダリアナの4人がいた。


ルシエルとダンはギルと同じで見に来たのだろう。

ダリアナは発案者として来たのかな?ルークは……ルシエルの見張り…かな?


「着いたな。どうするんだ?」 


ギルが本当に出てくるのか?と、少しいぶか()に聞いて来る。


私は庭を見回し、邪魔にならない場所を探す。

城の敷地というだけあって裏庭はかなり広い。家の1つや2つ余裕で建てられる。

とはいえ、真ん中にドンッ!と出すわけには行かないので、端の方に出すことにした。


「ちょっと離れてて下さいね。」


みんなには、私より後に下がってもらい、目星を付けた場所に森で住んでいた家を出す。

出し方は念じるだけ。いちいち口に出したり、操作することもないから、とっても楽!


「おー、すげー!マジで家だな!」 


急に出て来た家に、ギルは少し興奮しているみたいだ。 


「制限がないとは聞いていたけど、こんな大きな物が入るんだ…。他にどんな物が入るのか試してみたいね。」


そう言って、どうかな?と軽く首を傾げ、にっこりと笑うルシエル。

研究者の好奇心。悪い人ではないと思うけど、簡単に了承すると色々と付き合わされそうなので、聞かなかったことにしよう。


「さて、私は家に入りますけど、中も見ますか?」


今日は色々あったから、さっさと説明して早めに休みたい。そう思っていると、少し遠慮気味にギルが言った。


「入っていいのか?」


「いいよ。魔王様たちも泊まったし、見られて困る物もないから。」


「そうか。なら少し邪魔するな。」


ギルはもちろん、魔王と残りの4人と共に家に入る。

1日も経っていないのになんだか懐かしい。安心出来る我が家だ。


家に入ると、魔王は勝手知る我が家のように、ソファーに腰を下ろしている。


ここ、私の家なんだけどなー。まぁ、2日も居たし…。

そういえば、なんで着いて来たんだろ?道案内なら、魔王がわざわざする必要ないのに……。


「普通の家、だな。」


魔王が来た理由を考えていると、ぽつりとギルが言った。


「だが、見たことない物もあるぞ。」


ダンはそう言いキッチンに行くと、冷蔵庫とコンロを興味深げに見ている。


「おい、これらはなんだ。」


魔王一行が来た時は何も言われなかったから、この世界にもある物と思っていたけど、ダンの反応を見る限りどうやらない物みたいだ。


「えっと、こっちが冷蔵庫。食品を冷やしたり冷凍する物で、こっちはコンロ。ここを回すと火が出て料理が出来ます。こうやって。」


実際に火を付けてみる。


「ほー、簡単に付くんだな。」


「この世界ではどうしてるんですか?」


「かまどだ。薪を使う。火の魔法が使える者が火を付けるか、火の魔石を使うかじゃな。」


「火の魔石…。」


そっか、魔石があれば自分が使えない属性の魔法が使えるんだ。


「魔石って誰でも使える物ですか?」


「ん?そうじゃな。使い手の魔力量や魔石の大きさで威力は変わってくるがな。」


「じゃあ、魔力を持っていない人は使えないってことですか?」


「そうじゃ。だが、魔力を持っていない者はそうおらんじゃろ。多かれ少なかれ持って生まれるものじゃからな。」


あ、そういえば少なくても50くらいはMPあるってシアに教えてもらったんだっけ?もうすっかり忘れてたよ。


「えっと、もう1つ。威力が変わるのはどうしてですか?」


「そんなことも知らんのか?」


呆れたように言われ、曖昧に笑い返すしかない。


「…まあいい。魔石を使うのに必要なのは魔力じゃ。自らの魔力を魔石に送り、変換すると言えば分かりやすいかの。魔石の大きさで送り込める魔力量も違う。どうじゃ、分かったか?」


なんとなくは分かったかな。つまり、魔石が小さければ込められる魔力量は少ないから威力はあまりない。逆を言えば、魔石が大きくて魔力量が多ければ大惨事をまねく…かもしれないってことだ。


赤竜に貰った魔石は手の平くらいだったけど…。

あれ?でも呼ぶ時は魔石に魔力を込めろって言ってたような……。


まさか…爆発させろってことじゃ…ないよ、ね?

それに魔王に貰った魔石もあるんだけど…。こっちは大きくはないけど、闇の属性。魔力を込めると発動しちゃうなら使えないんじゃ…。


「…あの~魔王様。…魔王様が私にくれた魔石に、魔力を送ると闇魔法が発動しちゃうんですかね?」


最悪な事態になるのはイヤだし、使い方があるなら魔王にちゃんと聞いておかないと。


「そうしようと思うなら発動するだろうな。だが、魔石に魔力を送っただけでは発動しない。」


ん?どういうこと?

わけが分からなくなり首を傾げる。


「魔法を使う時と同じだ。どういう魔法を使うか、イメージすることが大切だ。」


「えっと、それじゃあ魔王様の魔石に魔力を送ったとして、魔王様に連絡をとりたいって思えば、闇魔法が発動することはないってことですか?」


「あぁ。」


そっか…。そうなのか…。…でも、危ういと思う。もし、私が誰かを呪ったりしたらどうするつもりだろ?

小さな魔石だし、呪ったとしてもたいした効果はないのかな?

………いや、そんなことしないよ?試したりもしないからね!?

多分、やった瞬間殺されると思うし…。死にたくないからね!

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