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魔王side③―2

*魔王side*


彼女を連れ、幹部たちの待つ会議室へ向かった。


部屋に入りルークとルシエルに対し[ドッパルゲンガー]とわけの分からないことを言っていたが、気にすることはないだろう。


途中、彼女とベトラーが言い合いをしたが、(おおむ)ね問題なく進み、報告会の最後にベトラーは、他に話がないか私に確認をとる。


この場には幹部たちが揃っている。ギルが言っていたことを聞くのにいい場だと思った。[好き]とはどういうものなのかを。



彼らが思う考えのいくつかは当てはまるものがあった。

執務中に彼女のことが頭に浮かんだ。

それに、彼女の近くは心地好く感じる。これは安らぎだろう。


ダリアナから[好き]には色々な形があると知り、不幸にしないようにと言われたが、ダリアナが危惧しているのは最後に言った[暴走する好き]というものだろう。


魔族は情が深く、多くの者が結ばれた相手1人を生涯愛する。


だが、大切にしたいと思う一方、独占したいと思う者もいる。


中にはいるのだ、軟禁に近い形で自分以外と関わらないようにする者が…。


愛するが故の行動。だが、それを相手も受け入れている。

愛されていると分かっているから、…自分も愛しているから…。


歴代の魔王にもそういう者がいた。

いや、魔王はもっと情が深いかもしれない。そして独占欲も。


魔王には肉親がいない。この世に1人だけの存在。だから、誰かを強く求めるのだろうか…。


もちろん、全ての魔王がそうではない。中にはパートナーを持たず、名を持たない者もいた。


魔王の名は特別な相手によって付けられる。

魔王が特別だと、名を付けて欲しいと思った相手。…生涯を共にしたいと思える相手。そして、相手も同じ気持ちであること。


条件を満たし、女神シアが2人を認めた時、魔王は魔王以外の名を持つことが出来る。


私は、どうだろうか…。

名を持つ者を羨ましく思ったことはある。自分だけの特別な名。名を持つことで、私は「私」になれる気がする。


…まあいい、時間はあるのだ。焦ることはないだろう。だが、これだけは確かな気持ちだ。

不幸になどしない。彼女に泣き顔は似合わない…。

笑って過ごして欲しいと思う。




報告会の終了を口にはしたが、これで彼女は帰るのかと思うと中々席を立てなかった。

幹部たちは、私が退室しないかぎり席を立たないだろう。彼女もどうすればいいのか分からず困惑しているようだ。

分かってはいるが、もう少し彼女の姿を見ていたいと思った。


帰るのかと聞けば、他に用がなければ帰ると言た彼女は、他に必要な手続きがあるかと聞いて来た。


彼女が何かを売ろうと思うなら、商業ギルドに登録が必要だが、それは売りたい物が決まってからで構わない。

後は冒険者ギルドくらいだが、争いを好まない彼女には関係のないことだろう。

…と思ったが、以外にも冒険者に興味があるらしい。


採取や魔物退治が主な依頼だが、採取はともかく、彼女に魔物を殺すことが出来るのだろうか?

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