住む場所、決定?
感動もそこそこに、みんなには1度戻ってもらい、今後の話をする。
「心配事が解決しましたね。…ただ、契約している皆さんは上位種。それに、シズクさん自身もヒューマンとしては上位に近いので、強い力を欲する者に知られると、利用しようと近づいて来る者がいるかもしれませんね…。」
心配そうに私に視線を向ける。
「利用…ですか?」
「えぇ…魔物に対抗するための戦力なら、まだいいでしょうが…。国同士の争いに巻き込まれる可能性があるかもしれません…。今のところ一部の国を除き、魔族とヒューマンの関係は良好なのですが、ヒューマン同士では争っている国もありまして…。」
なるほど、戦争があるってことか。イヤだな…。
「…出来れば、関わりたくないですね…。」
「私も関わってほしくはありません。シズクさんには、幸せに暮らしてほしいと思っていますから…。」
幸せ…ね。私の幸せってなんだろ?今まで通り、普通に暮らせること…かな?
新しい世界で、みんなと一緒に自給自足の生活をするのも楽しいかも!
「でも、そうなると…。料理は好きだけど、野菜とか育て方知らないし…。そもそもどんな物があるかも分からないし…。」
「育て方、ですか?」
シアはきょとんとしている。
どうやら思ったことが、口に出てたみたい…。
「あ…いや、利用されるのはイヤなので、出来るだけ人と関わらず、自給自足したらいいんじゃないかと思って…。ただ、野菜の育て方とか分からないし、この世界の人の生活も知らないので、どんな物があるのかなと…。」
「なるほど、そうですね…。シズクさんがいた世界ほど、豊かではありませんが、色々な職人がいてお店もありますし、生活に困ることはないと思います。ただ、品質などを比べると良くはありませんが…。」
「電気とかガスはあります?」
「いえ、ありません。ですが、こちらには魔法や魔石がありますから、さほど困らないでしょう…。飲み水はもちろん、小さな町にも、スライムを使った下水道を義務つけていますから、自然環境的にはシズクさんの世界よりいいかもしれませんね。」
「スライム?」
「はい!スライムは水の汚れなどを食べるので、浄化された水が川に戻るのです。ただ、数が増えるので定期的に間引く必要があるのですが…。」
「へぇ〜凄いんですね。スライムって。」
ゲームだと弱い存在だし、初心者向けのモンスターって感じだけど…。この世界では重宝されてるってことかな?
「えぇ。シズクさんが住む家にも必要になりますね…。シズクさんはどのような場所で暮らしたいですか?」
「え?そうですね…。あまり人が来なくて、景色のいい所?でも、買い物はしないといけないだろうから、あまり離れるのも…。町に住んだ方がいいのかな…?」
悩みどころだ…。
「あまり人が来ず、景色のいい…。街には、歩いて1時間程かかりますが、いい場所がありますよ!人は殆ど来ませんし、空気が清んでいて、大きな湖があるきれいなところです!危険な魔物もほとんどいませんから、安心して暮らせると思います。」
シアが勧めるなら大丈夫…かな…?
「なら、そこでお願いします。」
「はい!分かりました!」