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好き?

魔王が「聞きたいことがある。」と言っただけで、部屋は緊張に包まれている。


でも、なんで?

普段、意見を求めることはないのかな?


みんなの真剣さに1人困惑する。そんな中、魔王が再び口を開いた。


「…[好き]とは、どういうことを言う?」


……え??好き?

…えーと。みんなも予想外だったんだね、ポカーンとしてる…。


でも、わざわざみんなに聞くってことは、大事なことなんだろうし…。好き…。好き、ね…。


あ!もしかして、家族愛の好きかな?

ギルと家族とか兄弟って言ったから意識してるってことだよね?


ふっふっふっ。そういうことなら、協力しようじゃないか!!



*ギルside*


あんのバカ!何に言い出すんだ!

みんなの前でする話じゃないだろ!?第一、本人いんだぞ!どうすんだ!

…いや、落ち着け。告ったわけじゃない。

ただ、[好き]がどんな感情か分からないから聞いてるだけだ。


「……魔王様。なぜ、そのようなことをお聞きに?」


…ベトラー、正気に戻ったんだな。一応、話を進めようとしてるみたいだ。


「なぜ?…私には分からない感情だからだ。…ギルの意見はすでに聞いてるが、比較するため他の者の意見も聞いておこうと思ってな。…ベトラー、お前はどうだ?」


まずは、ベトラーか。

こんなこと聞かれる日が来るなんて、思ってもみなかっただろうな…。俺もだ。


だが、他でもない魔王から意見を求められているのだ。答えないわけにはいかない。


「…そうですね。あくまで、私個人の意見ですが…。安らぎ、でしょうか。…私が妻のそばにいる時に感じていることです。」


ふと、ベトラーの表情が柔らかくなる。奥さんのことを思い出しているのだろう。


「安らぎ…か。…他の者はどうだ?」


次は誰が答えるか。皆、顔を見合わせていたが、ルシエルが沈黙を破った。


「よく聞くのは、ドキドキして、胸が苦しくなる。いつもその人のことを考えている。無意識に目で追ってしまう、などですね。」


体験ではなく誰かに聞いた話なのだろう。恥ずかしげもなく淡々と答える。


そんなルシエルに便乗するように、ルークも答えた。


「他には…一緒に居たい。何かしてあげたいと思う、などでしょうか。」


ルークの答えを聞き、次に答えたのはダリアナだ。


「異性と話すのを見ると嫉妬するとか、自分を見てほしいと思うっていうのもありますわね。……魔王様、[好き]には色々な形がありますわ。

相手を自分で幸せにしたいと思う好き。

相手が幸せなら見守りたいと思う好き。

相手が自分を見てくれず、暴走してしまう好き…。

個々で違うものですから、型にはまることはありませんわ。…ただ、相手を不幸にすることだけはないように願います。」


子供に教えるように、慈愛に満ちた表情で話していたダリアナだったが、最後は真剣な表情をしていた。


魔王が望めば手に入らないものなどないだろう。

それが人だとしても、最悪閉じ込めてしまえばいいのだから…。

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