魚がいる湖へ
翌朝。
準備を済ませ、いざ街へ!
っと、その前に家をどうすべきか…。一応しまっとこうかな?畑の時間も止まるし。
皆が門を出たのを確認して、心の中で[収納]と念じる。
すると、家は跡形もなく消え、アイテムボックスの中へ。
よし、これでOK!
クルッ、と振り向けば、何もなくなった場所をジッと見ている魔王一行。
「?どうかしましたか?早く行きましょ?」
「どうかしましたか?、じゃないわよ!どうして家が消えるのよ!?」
ダリアナは、私の真似をした後、声を荒げ聞いてくる。
「…そういうアイテムなので。」
ゲームの話をする訳にもいかず、どうしようか?と悩む私に、ジトッとした目を向けていたダリアナは、諦めたように大きなため息を吐く。
「………はぁー。分かったわ。また女神様でしょ?」
地下を改装してくれた以外は、ゲームのままだけど…。
ゲームの説明をするのは、正直面倒だ…。うん!シアに貰ったことにしよ!
「はい、好きな所に住めるようにって、移動出来るようにしてくれました。」
ニコッっと笑って言えば、ダリアナは左手を腰にあて、右手の人差し指をビシッと私に向ける。
「やっぱりね!いい?今後は人前で使っちゃダメよ!分かった?」
子供に注意してるような言い方だな…。
「はい、分かりました。気を付けます。」
私の答えに満足したのか、「それじゃ、行きましょうか。」と言い、ダリアナが私の手を取り歩き出す。
気に入られたみたいだけど、さっきから子供扱いされてるような…。いつまで手を繋いでるんだろ?
そんなことを思いながら歩いていると、結界を抜けた。
魚のいる湖までしか行ったことがないので、それより先は私にとっては未知の世界。
すごくワクワクする!
でも、早く行きたい私とは対象的に、魔王一行はなぜか歩みを止め、空を見上げている。
何かあるの?と私も上を見るけど、木々で埋め尽くされ、葉の緑と少しの空が見えるだけ。
不思議に思っていると、レグルが口を開く。
「ここはダメだな。どこか開けた場所はないか?」
「開けた場所?…それなら魚がいる湖ですかね。」
「なら、そこに行くぞ。」
「??」
なぜ開けた場所に行くのか分からないまま、案内をする。
とはいえ、川沿いに進めば着くし、街にも近づいているだろうから問題はないけど。
「着きましたよ。」
結界内の湖と比べてしまえば小さいけど、十分大きな湖だ。
ここでは鳥の声も聞こえるし、動物や魔物を見ることもある。
さて、魔王一行はなぜここに来たのか。と、目を向けるとそれぞれ小さな笛のような物を手に持っている。
ピーー!
と、1人ずつ笛を吹き、空を見上げる。私もつられて空を見ると何かが近づいて来る。
距離が近づき、何かが分かった。羽の生えた馬、ペガサスだ。