お金…
シャンプーの話が一段落したので、そろそろ夕飯の準備をしようと腰を上げかけたところで、ガルムが口を開く。
「まぁ、なんにせよ、金は必要だと思うぞ?」
「お金?」
「あぁ、街に出ても、金がなけりゃ何も買えないだろ?」
それもそうだ…。……いや、待てよ。
確かシアが《お金はこちらの世界で使えるものに替えておきますね!》って、さらっと言ってたな。ちゃんと見てないけど、ボックスにあるはず。
いくらあるのかな〜?
小銅貨…10,006枚 (10円)
銅貨 …14,003枚 (100円)
大銅貨…1,563枚 (500円)
小銀貨…1,500枚 (1,000円)
銀貨 …100枚 (5,000円)
大銀貨…100枚 (1万円)
小金貨…10枚 (5万円)
金貨 …10枚 (10万円)
総額 6,768,360円
あれ?おかしいな〜。
貯金200万もないはずなのに、何でこんなにあるの!?
………は!ゲームか!?ゲームもなのか!?
このまま森で生活すれば、困らない額だろうな。やったね♪
いやいや、現実逃避ダメ。
でも、これ言った方がいいの?
……えーい!くらえ!!
「あの!女神様が、前世で稼いだお金をこっちの通貨に替えてくれたので、お金はあります。」
必殺!女神様がやってくれました!!
「そうなのか、よかったな!買い物出来るじゃねーか。」
………あれ?いくらとか聞かないの?
ガルム以外を見ても、なんか納得?諦め?みたいな…。女神様がっていうのに慣れたのかな?
とくに何かを聞かれることもなく、街に行くと実感が出て来てなんだかわくわくして来た。
「そうですね。街に行くの楽しみです!どんな物があるんですか!?」
おそらく、私の目は輝いているだろう。それだけ楽しみなのだ。
「そうだなー。うまい屋台や店があるぞ!」
「屋台?お祭りですか?」
「ん?いや、普通に出てる屋台だ。いろんな物が売ってるぞ。」
向こうの屋台とは違うのか?
たこ焼き、焼きそば、綿あめ……。
よし、夕飯は焼きそばにしよ!!確か、冷凍しておいた麺があったはずだ。
「そうと決まれば、さっさとご飯済ませて、明日に備えて早めに寝よ!」
急に立ち上がり、キッチンに向かう私に、少し慌てたようにガルムが声をかける。
「え、おい!何が決まったんだ!?」
「え?もちろん、夕御飯ですよ!」
「あ?あーそうか…。楽しみにしてるな!」
苦笑しつつ、ぐっと親指をたてるガルム。
「嬢ちゃんって、よく分からねーな…。」
そんな呟きは私の耳には届かなかった。