翌朝
「シズク、朝ですよ。起きてください。」
フローラの優しい声で目が覚める。いつもの朝。
でも、泣いたからか、すっきりしている気がする。
「おはよ、みんな。」
笑って言えば、安心したようにフローラは微笑んだ。よく見れば、他の皆も…。
知ってるんだ。昨日泣いたこと。
もしかしたら、前に夜中に起きて、帰れないんだって泣きたくて、でも我慢してたのも。
…心配させてたみたい。
それでも何も聞かず、見守ってくれてたんだ。
「ありがとう皆…。大好き。」
小さな声でポツリと呟く。
聞こえたかは、分からないけど。
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身仕度を終え、リビングに降りる。時間は6時半。
魔王一行は、すでにソファーでくつろいでいた。
「……おはようございます。」
「おー、おはよ!遅かったな!」
私の声にいち早く返したのはガルム。続いて、ルークだ。
「おはようございます。朝食を作りたいのですが、キッチンをお借りしても?」
「あ、はい。使ってもらって良かったのに。…いつから、待ってたんですか?」
「30分ほど前ですね。家主の許可なく使うのは気が引けるので…。」
常識人だ…。魔族って悪ってイメージあるけど、見た目違うだけで、普通の人と変わらなんだな…。
「そうですか。…よかったら朝食、私が作りましょうか?…簡単な物ですけど。」
「いえ、それ「お!何作ってくれるんだ?」は…。」
ルークは断ろうとしたが、ガルムが乱入。
「ふふっ。決まりですね。待っててください。」
洋食の方がいいかな?
そう思っていると、リズがこちらに近づいて来た。
「手伝うわ。」
「え?…なら、サラダの方をお願い出来ますか?」
「分かった。」
朝食はサラダとピザトーストにスープ。
途中、ダリアナも手伝うと言ってくれたので、スープを頼んだんだけど…。なぜか悲惨なことに…。
皮に実がほとんどついている野菜たち…。コンソメを入れるだけなのに、なぜか色がおかしな鍋。
「………何入れました?」
「…何かしら??食べ物以外は入れてないはずだけど…。」
よく見ると、サラダにと思って出した紫キャベツが入ってる…。
キャベツの色が出たようだ。なら安心かな?でも、キャベツにしては色が赤っぽい?
えっと、味は…。うわ!?すっぱい!
「…すっぱいです。」
「隠し味にレモンを入れてみたの。…入れすぎたかしら。」
あー、やっぱりか…。だから色が赤っぽいのね。
それにしても…。
「いくつ入れたんですか…?」
「え?…5つ、だったかしら?」
それは全然、隠れてないよ…。
混ぜると、切られたレモンが出て来た…。しかもこれ、種も入ってるな…。
せめて、絞って!!
スープは作り直しだ…。
ちなみに、ダリアナ作のスープはクアに処理してもらった。