表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
36/92

??? side ①―2

*??? side*


また、視界が歪み、次にいたのは横断歩道。


信号が赤に変わり、青年は信号待ちをしている。


手には小さな紙袋。

青年はそれを愛おしそうに見ていた。


信号が青になり、気づいた青年は歩き出す。

半分ほど渡った時だった。


キキーッ!……ドン!


音がして、何かがぶつかった。


さっきまで青年を見ていたのに。なぜ、俺は倒れている?

視線を動かすと、青年が持っていた紙袋を握っていた。


この体は青年のものか?



痛い…。体が動かない…。俺はこのまま死ぬのか?……イヤだ!しずく!俺の大切な妹。このまま会えなくあるなんてイヤだ!!

誰か、助けてくれ!最後に一目だけでもいい!しずくに会いたい!頼む誰か……だれ…か…。し…ず…く…。


青年の意識は闇へと沈む。


――――――――――――――――――――――――――――――

ガバッ!

ハァハァハァッ…。


「今のはなんだ…。」


飛び起き、まずは落ち着こうと荒い呼吸を整える。


ただの夢だ、と片付けるにはリアル過ぎる夢。


最後に聞いた青年の思いに、胸が苦しくなる。


「しずく…。妹…。………俺の?」


いや、俺に妹はいない…。

俺の両親はもういないのだから…。


それにあの景色。あんな場所、この世界にはないはずだ。


なら、なぜ見たこともないはずの物の名が分かった?


「…なぜ、俺は…あの子を…愛しいと思った?」


なぜ、涙が出る?

青年の思いに流されているのか?


「しずく…。」


名を口にすれば、心が暖かくなり、ふっと笑みがこぼれる。


「…しずく。………シズク?確か、あいつが言っていた名だ…。偶然…か?」


もう一度呟き。ふと、思い出した。


胸がざわつく。


自分も一緒行けばよかった…。そう後悔するなど、思わなかった。

…まぁいい。いつか、会う機会もあるだろう。


今は、この愛しい気持ちを胸に抱いて、もう一度眠ろう。

…あの子が笑っている夢を見れるように願いを込めて…。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ