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2つ目の魔石

昼食の準備を終え、まだ外にある残りのお肉を片付けに1人で外に出た。


見ると、氷で出来た板の上に、切り分けられたブロック肉だけがあった。骨などは見当たらず、不思議に思っていると、お肉の影からクアが姿を見せる。


なるほど、クアが食べたのか。


納得してアイテムボックスに入れていく。


すると、クアが私の足元に来て。


『おひるごはん、なーに?』


と可愛く聞いて来た。


まだ食べるのか…。

と、少し呆れた目で見ていると。


『シズクのごはんすき〜!』


と、擦り寄って来る。


っっ可愛いな!好きなだけお食べ!!…と言いたい衝動にかられてしまう。

我が家の末っ子は甘え上手だ…。


クアと共に中に戻り、やっとお昼。ステーキはまだかかるので、先にサンドイッチを出し、各自で挟んで食べてもらっていた。


「おー嬢ちゃん!うめーぞ!」


「ホント、パンも柔らかいし、ドレッシングもおいしいわ。」


私が帰ったことに気づいたガルムとダリアナが感想を言ってくれた。


「ありがとうございます。」


美味しいと言ってもらえて嬉しい。私は少し照れたように笑い席に着いた。


和気あいあいと、食べているとオーブンの音が鳴り、ステーキの出来上がり!


待ってましたー!と、ガルムとスピネルの目が輝く。


狼同士、似ている所はあるようだ。


食事が終わり、時計を見ると14時になろうとしてた。


ちなみにステーキの最後の一切れは、ガルムとスピネルがにらみ合いをしている間に、クアがパクッと。

二人は「「あ…。」」とステーキがなくなったお皿を見て固まり、そんな2人に周囲は笑い、いつもより賑やかな昼食が終了した。


それから、後片付けを終わらせ、さて、これからどうしようか?と悩む。

いつもなら、皆でまったりしている時間だが、今日は魔族御一行がいるため、それは出来ない。


この際だから、他にも何か聞く?

うーん。………考える時には浮かばないもんだな。


「シズク、大丈夫ですか?疲れましたか?」


考え込んでいると、フローラが心配そうに私を見ていた。


「あー、大丈夫だよ。…他に聞いておくことないかなぁーって考えてただけ。」


笑いかけると、フローラはほっと安心した笑みを浮かべ、一緒に考え始めた。


「他に、ですか。………魔王様、ここから街に行く際、裏庭に出るとのことでしたが、安全に通り抜けられるのでしょうか?」


フローラが確認のため、魔王に問う。


「…そうだな。来ることが分かっていれば、騒ぎが起きることはないだろう。」


そう言うと、魔王が立ち上がり、私がいる台所まで来て、収納空間からネックレスを取り出した。


「魔石を渡しておく。こちらに来る時は連絡しろ。」


「あ、ありがとうございます…。」


そのネックレスには、鳥の羽の形に加工した黒い魔石が。


……いいのかな?なんか高そうだけど…。


遠慮がちに受け取り、しばらく眺めていると、手から消えてしまった。

え?と思っていると、魔王が私の首に掛け、満足そうに目を細めている。


………っビックリしたー!なんだ!?どうした!?

脳内でパニックを起こしていると。私の頬に魔王の手がそっと触れ、目線が合わさる。


多少放心している私に。


「いつも身に付けておけ。…いいな?」


と、優しく言い含めるように魔王は言った。


「え?あ、はい。」


返事を聞いて満足したのか、1つ頷くと、ソファーへと戻る魔王。


魔族の人たちが戸惑ったような、信じられないものを見たような目を魔王に向けているが、本人はまったく気にしていないみたいだ。


「シズク、少し失礼しますね。」


魔王が席に着くのを目で追っていると、ベリルに濡らしたタオルで頬を拭かれた。


「え〜と…。ベリル?」


急な行動に戸惑う。


「………。はい、綺麗になりましたよ。」


少しして満足したのか、とても良い笑顔をしている。


「え?…ありがとう?」


お昼のおかずでも付いてたのかな?


ふと視線を感じ、目を向けると、魔王が私たちを…いや、ベリルを睨んでいた。


無表情の魔王と笑顔だけど、目が笑っていないベリル。2人の間に、バチバチッと火花が散っているような…。


なんで睨み合ってるの?


どうしよう…。なんか空気が重いんだけど…。止めた方がいいのか?


そう悩んでいると。


「なー嬢ちゃん!森とか湖、見て回ったか?」


と、空気を読まないガルム。


メンタルが強いのか、鈍感なのか…。とりあえず、助かった…かな?


「まだ、近くだけですけど…。この森かなり広いみたいですし、湖も端が見えませんからね…。」


そう、この湖1キロ以上はあると思う。そのうちお弁当作って、端まで行ってみようと思っているのだ。

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