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収納空間との違い

「…いくつか質問してもいいでしょうか?」


「…どうぞ。」


ルークに言われ、頷く。


墓穴を掘ったみたいだけど、何が彼らと違うのか分からない以上、拒否しても仕方ないし、次から気をつけよう…。


「では。容量も関係ない、と言っていましたね?つまり、制限がない、ということですか?」


「え?はい。…収納空間は違うんですか?」


「えぇ。魔力量によって収納出来る容量は違いますので。」


マジか…。


「制限のない人って…?」


おずおずと聞いた私に、悩む素振りもなく答えた。


「私が知る限りではいませんね。…それで、食材が傷まないというのは?」


え?それも!?


「えっと、アイテムボックス内の時間は止まっているので…。…それも違うんですか?」


「…はい。収納空間では、時間が止まる、ということはありません。ただし、時間はゆっくり流れています。…現実の5日間が、空間の中では1日くらいでしょうか…。」


「………。」


言葉が出ません。

シア…。話が違うよ!?……いや、違わない、…か?

シアは、空間魔法が使える者が収納空間を使えるって言ってただけだ。

よし、言い直しだ!シア…、説明不足だよー!!!


「それから」


まだあるの!?


「貴女は転移を使えますか?」


多少、放心していた私に、ルークは真剣な目を向ける。


ルークの雰囲気が変わった。一挙一動を見逃さないよう注意深く私を見ている。


悪いことをしたわけでもないのに、じっと見られるといたたまれない…。

空間魔法が使えないのは言っといた方がいいかな?少しは警戒されなくなるかも。


「いいえ。転移は出来ません。私は空間魔法が使えないので。」


「空間魔法が使えない?…では、なぜ……。」


顔をしかめ、ルークが呟く。


なぜ、似た魔法を使えるのか…。声には出さずとも、続きは分かる。


「アイテムボックスは私の固有スキルです。女神様が、こちらの世界で困らないようにと、取り計らってくれました。…贖罪の意味もあるのかもしれませんが…。」


違うけど、ゲームでは空間魔法も使えたし、アイテムボックスも当たり前に使えたから、おまけしてもらいました!!

なんて言えないし……。いや、贖罪は本当か?


「……そうですか。女神様が…。」


ポツリと呟いたきり、視線をそらされ、無言。


納得…、はしてないかな?でも、私がこっちに来た理由があれだから、特別にってことで納得して欲しいな…。説明のしようがないし。


そもそも、収納空間が使える人がいるから大丈夫って話だったのに、なんで過敏に反応されたんだろう?


「…あの、確認したいんですが…、空間魔法が使える人が収納空間を使えるから、私がアイテムボックスを使っても大丈夫って女神様は言ってたんですが、皆さんは私が使えること自体に驚いていましたよね?なぜですか?」


し〜ん……。


…え?なんで!?そんな呆れた目で見ないで!?


「なるほど…。本当に何も知らないのか…。(…女神め、面倒をこちらに押し付けたか。)」


最後は聞き取れなかったけど、魔王が不機嫌に…。


私のせい?どうしよう、無知過ぎて怒ったの?でも仕方ないことだし…。とりあえず。


「あの!ごめんなさい!」


謝っとこ。


「何を謝ることがあるんだ?」


「…私が何も知らないから。」


「それは、教えなかった女神の落ち度だ。お前が気に病むことはない。」


頭を下げる私に思いの外、魔王の優しい声がかけられる。


怒ってたんじゃないの?

私は、ゆっくり頭を上げ戸惑いつつ彼を見た。


魔王って……、こんな常識人なの!?もっとこう、冷酷非道って感じの想像だったんだけど…。すべてお前が悪い!みたいな。


ん?でも、一番最初に威圧されただけで、後は普通に話してたっけ…。

…最初の印象って大事だね!


「…ありがとうございます。」


なんだか安心してフニャッと笑った私を見て、魔王は顔をそむけた。


……変だった!?変な顔だった!?


少なからずショックを受け唖然としていると、ルークのわざとらしい咳払いが聞こえた。


「ゴホン。えー、話の続きをしましょうか?」


「え?…あ、はい。お願いします。」


「では。…まず、空間魔法は、誰でも使えるものではありません。魔族の中でも3割くらいでしょうか…。ヒューマンにも使える者はいますが、その場合、多かれ少なかれ魔族の血が遺伝していることになります。」


つまり…


「本来、空間魔法はヒューマンが使えるものではない、ってことですか?」


「そうなりますね。」


シアよ…。なぜ教えてくれなかった!?ヒューマンは転移を使えないって言ってたけど、転移だけじゃないじゃん!


頭を抱える私に、ルークは続ける。


「それから、空間魔法が使えたとしても、ヒューマンは魔族に比べ魔力量が少ないので、転移は出来ないと言われています。」


「あ、それは女神様が言ってました。転移出来るのはごく一部で、ヒューマンは使えないって。」


「そうでしたか。(……なぜ、もっと詳しく話さなかったのでしょうね…。)」


その呟きには、私も同意だ。

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