解決?
しばらくし、ガルムは考えるのを止め、私に聞く。
「嬢ちゃん以外で出来るやつはいるのか?」
私はナイトに視線で問いかけ、ナイトは首を横に振る。
まぁ、そうだよね。
「いませんね…。」
「誰も出来ないのは問題だろう…。…仕方ない、俺がやってやるよ。ただし、条件がある!」
良いことを思い付いた、という顔をしている。
「…なんですか?」
難しいことじゃなきゃいいけど…。
「昼飯、食わせてくれよ。腹へってんだ!」
ポカーン
……え?それだけ!?
「そんなことでいいんですか?」
「おう!じゃ、さっそくやるか!そこの、…ナイトだっけ?お前も手伝え、ここに住むなら出来るようになっといた方がいいだろ?」
ナイトはガルムの言葉に頷き、私の近くに来て、頭を撫でる。
「…そうだな。俺が出来れば、シズクがする必要はなくなる。」
…ナイトは鋭いな。解体するって頭ではわかっていても、実際自分がすることを考えたら、怖いって思ったのを気づかれていたようだ…。
「ありがと。…でも、いつか私も出来るようになりたいから、その時は教えてね?」
「…分かった。」
「オレ!オレもやる!!」
ナイトと微笑みあっていると、スピネルが乱入して来た。
「お!お前もやるのか!ならついでだ。そこの狐、お前も来い!」
いつの間にか私の近くにいたベリルを、ガルムが誘う。
「…なぜ、私が…?」
なぜ、お前の命令を聞かなければならない。と、冷たくガルムを見ている…。
それに気づいていないのか、無視しているのか、ガルムは気にしていないようだ。
「なぜって、出来ないよりはいいだろ?嬢ちゃんも助かるだろうしな!」
助けになる、と聞き迷っているようだ。
*ベリルside*
会ったばかりの相手を信用はできない。
私までシズクの側を離れて、もし何かあったら…。ですが、2人が出来て私は出来ないなんて差をつけられるようで、癪にさわりますし…。
「ベリル、イヤなら無理しなくてもいいよ?」
シズクは、なかなか答えないベリルを、心配しているようだ。
おそらく、解体に抵抗があると思っているのでしょうね。
「いえ、シズクの役に立てるのであれば、やりましょう。」
ウィーナとフローラがいれば何かあったとしても、大丈夫でしょう。
なにより、シズクの役にたてることが増えれば喜んでくれますよね?
「よし、決まりだな!嬢ちゃんは飯、頼むな!」
「あ、はい。よろしくお願いします。」
最後に3人に頑張って、と声をかけシズクは家の中に入って行った。
それを見送り、作業に入る。
解体を4人に任せ、私はサンドイッチ作り再開だ。
とはいえ、まだボックスから出してもないんだけどね…。
さぁ、まず野菜を!と、出していたところで。
「え!?どうして!?」
と、ダリアナが驚きの声をあげる。他の魔族の人たちもなぜか驚いていた。
何事かと、目を向けた私と魔王の目が合った。
「収納空間が使えるのか?」
収納空間?……そういえば、シアが言ってたような。
「…アイテムボックスのことですか?」
彼の反応を伺いながら聞くと、どうやら知らないようだ。
「アイテムボックス?…そちらの世界ではそう呼ぶのか?」
「えっと、…まぁー、そうですかね?」
ゲームの世界での話なので、なんと答えるべきなのか分からず、曖昧に…。
魔王は私から視線をはずし、なにやら考えている。
曖昧に答えたから怪しまれた!?でも、収納空間使える人いるって言ってたし、呼び方が違うだけだよ!?
「あ、あの!こっちの人は収納空間って言うんですね!便利ですよね〜、食材は傷まないし、容量も関係ないですし!……あれ?」
沈黙がイヤで言ったことだったのに、なぜかさっきより驚かれているような…。
……もしかして、墓穴を掘った!?