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死亡理由と選択

女神、シアは言いにくそうに、ちらちら私を伺いながら話し出した。


「え〜と、簡単に説明すると…。私お酒が好きで、そちらのお酒は美味しいものが多く…。」


ん?何の話?


内心首を傾げつつも、大人しく聞いておく。


「地球の創造主。まぁ、神ですね。その方のもとにお酒をもらいにいきましたの。…それでビンを受け取る時に…、その〜…手を、滑らせてしまって…地上に…。」


……なんとも言えない空気が漂う。


「……つまり、あなたが落としたビンが、私の頭にあたって私は死んだ…と?」


頼むから、否定して!


「そういうことになりますね…。」  


願いは叶わず、肯定されてしまった…。


「は?」


いやいや、おかしいでしょ!?異世界転生って色々理由があるよね!?世界の危機の余波で、とか穢れの浄化とか?それがビンにあたってって!?ウソでしょー!?


「なんてことしてくれたの!!」


相手が女神だとしても怒らずにはいられない。


「ごっごめんなさい!謝って許されることではありませんが、申し訳ないと思っています…。」


シュン…。とする女神。反省はしているようだ。


女神様、すっごく落ち込んでる…。

な、なによ…そんなに落ち込まれたら強く言えないじゃない!?


「はぁー。それで、私はこれからどうなるんですか?」


息を吐き、頭を冷やす。これからの話をしないと…。いつまでも怒っていても仕方ない…。


「え?あの?」


不思議そうに私を見るシア。


「?なんですか?」


「いっいえ…もっと色々言われる覚悟をしていたので…。」


あー、そりゃ色々言いたいけど、言っても仕方ないよね?


「私を元の世界に返せ!とか色々騒いだところでどうにか出来るんですか?」


「いえ…出来ません…。」


シアの語尾が小さくなっていき目線も下へ。ますます落ち込んでいく。


私は出来るだけ優しくシアに声をかけた。


「なら、これからのことを話しましょう?怒っていない訳ではありませんが、一応謝ってもらいましたし、グダグダ言ってても仕方ないですから。」


それに、落ち込んだ人を責めるなんて、いじめてるようで気分は良くない…。


シアは戸惑いながら私の目を見つめ、しばらく。責める気がないと分かったのか、少しホッとした顔をして微笑んだ。


「あなたは優しいですね…。分かりました。あなたの…シズクさんの今後について話し合いましょう。」


私はシアが言い直したことで、疑問に思ったことを聞いてみた。


「そういえば、私の名前…何で知ってるんですか?」


シアはニコリと笑う。


「それは、シズクさんが眠っている間に記憶を拝見したからです。その際に、シズクさんの事を色々と知ることが出来ました。」


…あーなるほど、女神様だもんね。記憶を見るくらい容易なことだよね!うん!


「って、納得していいの?それでいいのか私!?記憶っていったい何を…ブツブツ…」


私は文字通り、頭を抱えて自問自答し、自分の世界へ閉じこもる…。

そんな私をシアは不思議そうに。でも、微笑ましいと言うように見守っていた。


しばらく、自分の世界に入った私は、ふいに香った紅茶の匂いにつられ顔あげた。


「そろそろ、落ち着いたかしら?」


そう言いながら、シアは新しい紅茶を差し出す。


「ありがとうございます。すいません、一応、落ち着きました。」


私は恥ずかしい気持ちを誤魔化そうと紅茶を一口。私が一息着いたところでシアは話を切り出す。


「では、話を始めましょうか。シズクさんには、私の創った世界[リーリシア]に転生していただくことになります。」


転生…か。


「もし、「イヤだ」って言ったらどうなります?」


シアは頬に手を当て、困ったように笑った。


「その場合、シズクさんの魂は消滅し、二度と転生することが出来なくなります。」


「消滅?」


「はい。今のシズクさんは魂だけの状態ですので、このまま器…身体に魂を定着させなければ、消えてしまう存在です。」


「二度と転生出来ないっていうのは?」


「転生するには、次の器となる身体が必要なのですが…。シズクさんの場合、本来ならまだ死亡予定はなく…。魂に合う身体が、どの世界にも存在していませんでした…。」


「でも、事故で突然亡くなる人もいますよね?」


「はい。ですが、私たちはある程度、人の死を予想することができますので、事故で亡くなる可能性があると、前もって器を準備することが出来ます。

ですが、シズクさんの場合、可能性どころか、予定などあるはずもなく…。私が急遽、シズクさんの身体を創りました。魂が消滅するまで、あまり時間がありませんので、今から他の世界で器を用意することは出来ないでしょう…。」


「……分かりました。転生でお願いします…。」


私には、他の選択肢はないようです…。

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