仲間が増えました。
畑を終え、家に入る。
次は、夕飯の準備をしないとね!と意気込みアイテムボックスに何が入っているか確認。そしてあることに気づいた。これがシアが言っていた[特別な効果]だと思う…。
その効果はというと、ほとんどの物が使ったら補充されるようになっていた。しかも、1日に10倍の量までは補充されるらしい。
それと、使いかけの物…、例えば卵の残りが6個だったはずが、買った時と同じ10個。ようは、新品状態に戻っている。
まぁ、それはありがたいよ?でも、普通の家庭で砂糖とか塩とか、1日10キロも使わないよ?卵も100コまでとか…。あ!でも、お米や小麦粉はありがたいな。主食に困らない。
さすがに生の肉や魚、野菜は増えないみたい。そこはちょっと安心。
もう規格外というか…。うん、真面目に考えちゃダメなんだよ…。超ラッキーくらいに思わないと!
さーて、夕飯は何にしようかな♪初異世界、引っ越し祝い?にちょっとだけ豪華にしようかな?そう思い、作るものを考えながら、材料を出していく。自宅にあった食材とゲーム内の食材があるから、すぐに買い出しに行く必要はなさそうだ。
料理を作っていると、ガチャりと玄関の扉が開き、ベリルとナイトが帰って来た。実は畑を作っている間、2人には周辺がどうなっているか見て来て、と頼んでいたのだ。
「ただいま帰りました。」
「ただいま。」
「ベリル、ナイト。お帰りー、どうだった?」
ベリル、ナイトの順に帰宅の挨拶をし、私も返し状況を聞く。
「とくに危険な魔物はいないようだ。」
と、ナイトが答える。それに、「よかった…。」と安堵していると。ベリルが話し出す。
「ですが、気になることが…。ここから約100m内には魔物はいませんでした。恐らく結界が張ってあります。」
「結界?」
「はい、何匹か魔物を見ましたが、通り抜けず拒まれていました。私たちは大丈夫でしたが…。」
「私もフローラも結界は張ってないし…。シアが関係してるのかな?」
連絡はとれないから確認のしようがない…。
うーん。と悩んでいるとフローラが話に入る。
「家の周りに結界を張っておきましょうか?理由が分からない以上、何者かが入ってくる可能性があるかもしれません…。」
確かに…。魔物が通れなくても、他に通れる人とかがいるかもしれないからね。
「うん、そうだね…。それじゃ、お願いね。2人も見回りありがとう、お疲れ様!」
2人にお礼を言い、私は料理の続きに戻る。2人はソファーに座り一休み。そして、フローラはさっそく結界を張ってくれている。…のだけど、なんだかフローラの様子がおかしい。「あら?」と不思議そうに首を傾げている。
「どうしたの?」と気になり声を掛ける。
「それが…、家の中に7つの反応があります…。」
え、7つ?私たちは6人しかいないのに?
「どこだ!?」
と、ナイトが勢いよく立ち上がり、皆も警戒する。そして、少し困ったようにフローラは答えた。
「それが、下なのです…。」
私たちがいるのは1階だ。地下に行く階段はなかったはず…。
「ねぇ、あそこから行けるんじゃない?」
ウィーナが指を指す先を皆が見る。裏庭へ続く廊下の途中に、床下収納のようなものがあった。開けてみると階段になっていて、石の床が見える。2、3mくらいだろうか?そんなに深くはない。
「オレが行きます!」
と志願したのはスピネルだ。やる気満々といった感じでちょっと不安になる。
「え?大丈夫?」
「はい!任せてください!!」
そう言って、スピネルは気合い充分に下りて行った。
…が、ガッカリした様子ですぐに戻って来た。
「?なにがいたの?」
「…ただのスライムでした…。」
意気込んで行ったのに相手がスライムと知り、残念そう。皆もたいした相手じゃないと知り警戒を解いた。
私はシアが下水の話をしていたのを思い出す。多分、そのためのスライムだろう。
とりあえず、確認のため地下に降りる。広い空間に池?のような物がいくつか並べてあった。順番に役割があるのだろう。
そして、目の前に1匹のスライム。1匹で足りるの?…あ、そういえば増えるんだっけ?間引かないとって言ってたし…。でもそれって…、殺す、ってことだよね…。
うーん、どうなんだろ…。お世話になるわけだし、それはちょっとな…。
駄目元で聞いてみる?
「ねぇ、スライム君。必要な数以外は増えないでほしいんだけど、無理かな?」
言葉が分かっているのか、いないのか。プルプル震えるだけのスライム。
うん、分からん!!
「何言ってるか分からないよ…。」
困ったな…。と思っていると、ウィーナが私の横に来て、「簡単じゃない。」と言う。「え?」と私は首を傾げる。
「契約すればいいのよ。そしたら、分かるようになるでしょ?」
そっか!ウィーナ、ナイス!
さっそく契約しようと思い、とりあえず、ゲームのセリフを言ってみる。
「汝との契約を望む。名を受け取り我に仕えよ。クア!」
言い終えると、スライムのいた場所に魔方陣が…。
成功したみたい!これで話が出来るはずだ。
「えーと、さっきはなんて言ってたの?」
『できるよ!』
頭に直接、声が響く。スライムには口がないのかな?
「そうなんだ、よかった。これからよろしくね!クア。」
『うん!よろしく!』
ということで、仲間が増えた。クアは分裂し、本体は私たちと上に戻る。
そして、気になっていたことを聞いてみた。
「クアって、どうやって地下に入ったの?」
『わかんない。きづいたらあそこにいたよ?』
え?女神様…誘拐したの!?
少しビックリしたものの、クアのことが解決し、皆でご飯を食べる。
それから、お風呂に入って、後は寝るだけ。もちろん、お風呂は男性陣とは別だよ?獣の姿なら、ぜひ洗いたいけどね!今度、頼んでみようかな…。
そして、就寝のため、皆で私の部屋に行く。人型から、4人は動物に、フローラも手のひらサイズに変わり、フローラとウィーナは、ベッドの頭上にある台にクッションを置いて。ナイトはソファーに、スピネルとベリルはベッドに上がり寝るみたい。
あれ?クアは?…あーいた!ナイトの上にいたよ!
それじゃ、皆おやすみ。