次の目覚め
ゆっくりと意識が浮上する。私の頭を誰かが撫でていて気持ちいい。
まだしばらくこのままでいたいな…。
そんなことを思っていると、周りから声がした。
「起きないのか?」(スピネル)
「えぇ、気持ちよさそうに眠っているわ。」(フローラ)
「まったく、いつまで寝てるの!」(ウィーナ)
「いいでは、ありませんか。時間はあるのですし。」(ベリル)
「だが、起こした方がいいだろう。」(ナイト)
せっかく気持ち良く寝てたのに…。
私は仕方なく身体を起こし、身体を伸ばす。
「う〜ん、まだ眠い…。」
「おはようございます。」
「おはよー、フローラ。」
辺りを見回すと、契約した子たちが側にいた。そして、キラキラと輝く湖を発見。
どうやら、シアが言っていた場所のようだ。
「わー、綺麗!…本当にここに住んでいいのかな?」
私は、湖に近づきギリギリの所で足を止める。魚がいるかな?と覗き込むように見ていると、手を引かれ数歩後ろに下がる。誰だ?と振り返ると、手を引いた正体はナイトだった。
「あまり前に出るな、落ちたら危ないだろう。」
「はーい…。」
柵もないし深そうな湖だ。来てそうそう濡れるのはイヤなので、大人しく言うことを聞く。
そして、興奮していた気持ちを落ち着けて、再び辺りを見回した。
湖以外何もない…。広く開けてはいるけど、どうやら森の中にいるようだ。
「さて、まず何からしようか?」
とりあえず、皆に意見を聞いてみる。
「まずは、家では?住む場所がなければ、なにかと不便です。」
と、ベリルが答えた。
確かにその通りだ。
「そうだね。確かアイテムは使えたはず…。拠点があるからどれか使おうか。」
ゲームでは、家を拠点として買えた。ログハウスとか屋敷とか、値段によりさまざま。もちろん出し入れ可能!気分によって変えれるので、私もいくつか買っている。
ということで、野菜の種をくれるって言ってたし、庭が広い方がいいかな。
とはいえ、どうやったら出てくるんだろう?…とりあえず。
「アイテムボックス!」
手を突き出し、声を出す。すると、画面が出て来た。
でも、どうやら念じるだけでもいいみたい。ちょっと恥ずかしい…。
私は、画面を操作し[拠点]という項目を見つけた。その中にある[2階建て広い裏庭付きの家]を出したいんだけど、決定ボタンのようなものはない。これも念じればいいのかな?
出したい場所の目星をつけ、あそこに出て来て!と念じると、その場所に大きな四角い光が現れ、光の中の地面に屋根が見えた、と思ったらどんどん上に行き、家の外観が出て来る。そして、完全に光が消えると、何もなかった所に家が建っていた。
ホントに出てきたよ…。
細工された門、ぐるっと塀に囲まれた立派な家だ。外観は白い壁にグレーぽい黒の屋根、2階には広いバルコニーが見える。
「とりあえず、入ろうか?」
いつまでも眺めていても仕方ないので入ることにする。