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東の国に夜明け告げて  作者: しちせい
7/7

お食事、おしゃべり、まだ秘密

「お子様ランチってのはなんでお子様ランチなんだろうな。あれは大人でも好きなやつ多いメニューだと思うんだよ」

「知らないけどメニューより量の問題でお子様ランチなんじゃないの。ていうか好きだからハンバーグとオムライスだったの?」

 二人の他に誰もいなくなった食堂で脈絡もなくお子様の定義について考察を始める陣とばっさり切り捨てる蜜葉。

「まあ好きだからだけど。肉と卵たっぷりなんて料理はたまにしか作れないし」

「まあ、ものすごい贅沢に見えるけど。そんな余裕あるの?」

「ついこないだ補給はしたところだった。ついでにさっきチンピラみたいにぶんどってきたのもあるし」

「チンピラみたいな自覚はあったんだ……」

 数日ぶりのまともな料理を前にして我慢できるはずもなく。

 口に放り込んでみればお世辞抜きに美味しいものだったのもあり、あっという間に平らげて、その様子に苦笑しながら陣が半分分けてそれも平らげて並んで洗い物をしている最中。

「お前はもう少し女の子の自覚を持つべきだと思う。主に食べる速さで」

「うっさい。普段はもう少しマシだっての。だいたい量が多いのと速いだけで食べ方汚くはないでしょ」

 とは言うものの、流石に食べ過ぎだ。お腹が苦しい。

「まぁそうなんだけど。食い方が男らしいというかなんというか……」

「お淑やかでお上品なお嬢様をお探しなら他を当たってください」

「探してないっての」

 陣が洗った皿を蜜葉が拭いて食器棚に並べる。彼女含めて十九人分の食器だが、まとめて盛り付けていたのもあってあまり時間もかからず終わりが見えてきている。

「にしても私がお風呂入ってる間だけでよくあんなに作れたね」

「作り置きだよ。ハンバーグなんて捏ねて冷凍しとけばいいし。飯炒めるのと卵焼いて、ハンバーグ溶かして焼いてってしただけ」

「あ、なるほど」

「二十人弱の料理いちいち作ってたら時間がいくらあっても足りないからな」

「まぁそうだよね。これで最後?」

「おう。おつかれ」

「はい、おつかれ。そんじゃ私、そろそろ行こうかな。お世話になりました」

 エプロンを外しながら、頭を下げる蜜葉。

「あ?もう夜だぞ?」

 タオルで手を拭いながらその後頭部に怪訝な表情を向ける。

「あ、そっか。この辺どれくらい出る?」

「たくさん」

「んー。小規模なのなら行くんだけどなぁ」

 下げた頭を元の位置に戻して顎に指を当てる。

「なんだ。そんなにここに居たくないのか」

「いや、そうじゃないんだけど。なんというか、居心地良すぎて出ていくの億劫になりそうで」

「ふーん。ま、とりあえず一晩くらい罰は当たらんだろ。部屋も用意させてるし」

「うーん……。まぁ、そうだね。あんたの姉と一緒なのはやめてよ?」

 長居したくないのだが、だからといってわざわざ夜に飛び出すほどでもないと結論は出たようだ。

 となると問題は安眠できるかどうかなのだが。目下一番の問題は浴場の彼女。

「ああ、やっぱり絡まれたのか」

 片付け終えたそばからやかんに水を注ぎコンロで火にかけつつ、肩を落とす陣。

「やっぱりって何よ。変質者か何かとしか思えないんだけどほんとに姉弟?」

「まあ、変質者なのは否定しない。コーヒーは何派だ?」

 マグカップを二つ棚から出し、瓶詰めのインスタントコーヒーと、砂糖をもそっと片方のカップに入れながら苦笑する。

「牛乳あるの?」

「あるぞー。昼間パクってきたなかにあったからな」

「じゃあカフェオレ」

「甘いの?」

「当然」

 冷蔵庫から牛乳を取り出し、片手鍋に注いでそちらも火にかける。

「いいの?こんな時間にコーヒー飲んで」

「今夜は見張り当番なんでな」

「見張り?」

「そ。流石にみんな揃っておねむってわけにいかないからな。飯と同じく当番制。だから昼間寝てたんだよ」

「ああ……。あれほんとに寝てたんだ」

 昼の騒動を思い出して苦い顔になる蜜葉。

「いい出会いだったろ?」

 そんな表情を見て楽しそうにマグカップに白と黒の液体を注いで手渡す。

「ほんと、感動しちゃうくらいね」

「にしても奈良なんて安全なとこにいる割に随分と強い能力だったな」

「不幸自慢みたいだからあんまり話したくないんだけど元は多分東の孤児だから」

 食卓の椅子に腰掛けた陣に釣られて隣に座る。

「へえ。東ねえ。どの辺?」

「多分って言ってるでしょ?覚えてないの」

「ふーん?」

 気のなさそうな生返事だが、視線は蜜葉に向け、続きを促す。

「毎日毎日ゴミの汁をすすって生きてたのと、突然魔物が襲ってきたのくらいしか覚えてなくて。そこで……、まぁ、いろいろあって。気付いたらどこかの神社に転がり込んでてって感じ。

 それで、その襲われた場所を探してるんだけど」

「は?なんで?」

「なんでって言われてもなぁ。約束したから」

「約束?」

「ん、まぁ、ちょっと借り物を返す約束を。そうそう。それでさ。この辺りになんかそういう、何年か前まで人が住んでそうだった場所ってない?

 なにぶん、約束をどこでしたかもわからない次第でして」

 どうにも腑に落ちない様子の陣を無視するようにおどけながら尋ねる。

 実を言うと、なぜ自分でもこんなにこだわっているのかはっきり答えられる自信がないのだ。

 踏み込まれる前に話を進めてしまう強引さは隠しきれないがそれをわざわざ指摘することもなく答える。

「そんなもんいくらでもあるぞ。つーかだな」

「何?」

 頭を掻きながら音を鳴らして椅子を動かし、蜜葉に向き直る陣。

「お前の言ってるとおりだとして。絶対そこはもっと西だったはずだろ。お前が今の両親と会ってどれくらいだ?」

「四年」

「だろ?今いくつだよ」

「一応は十六」

「一応?あぁそうか。出生年不明ってことね。とりあえず当時十二かそこらなわけだろ?」

 孤児の多い現状、年齢不詳の人間は少なくない。

「うん」

「当時霊能力は?」

「なかったよ」

 そこまで聞いてため息をつく。

「そんなガキの脚で大した距離を移動できるはずないだろ。拾われた神社の場所は?」

「お父さんお母さんに会ったのが三重と奈良の県境辺り」

「おいおい……。岐阜からそこまでどんだけあると思ってんだよ。絶対に走って行くなんて無理だろ」

「そうなんだけどさ。ていうかホントはここまで来るつもりなかったの」

「あん?」

 面倒そうに頬杖をついて愚痴をこぼし始める蜜葉。

「最初はその神社を探すつもりだったの。正直約束した場所はわからないし、まあ神社なら探しやすいから。そこの神主さんが覚えてるならどっちのほうから来たのかくらいは聞けるかなとも思ったし」

「まぁそうだな。それで?」

「ところがさー。探し回ってたどり着いてみればとっくに潰れてるってオチ。どうなったのかこれまた事情を知ってる人を探して回って聞き出してみれば、『ここはもう安全だ。私は東の人を救いに行きます』って十ヶ月くらい前に出ていったって。

 ていうか私がいた頃にも何度かそんな感じで場所変えてるし。そのせいで自分がどこで拾われたのかもよくわかってないんだけど」

「まじかよ」

「大マジよ。アテにしてた手がかりはなくなって、しょうがないからその神主さん探すのも含めてこっちのほうまで来てみたの。神社にいたのは数ヶ月くらいなんだけどだいぶ濃い人でさ。探しやすさならそっちかなと思って。なんというか、いつも話題に困らない人というか」

「あー。ひょっとしてアレか?」

「知ってるの?」

 自分に向けていた視線を天井に移して腕を組んだ陣に、投げやり気味に頬杖をついたまま首を向ける。

「いや、噂で聞いただけだ。やたら強い神職のおっさんが群れを祓っていったって話。確か……もう少し北のほうだったか?つってもそんな噂が流れてきたのが半年以上前だぞ」

「時期的には合うなぁ。多分その人かな。くそー。まだ東なのか……」

「まあどっちにしろ」

 蜜葉と同じく頬杖をついて投げやり気味な口調で続ける。

「諦めたほうがいいんじゃね?」

「そうね。でもここまで来たのも馬鹿みたいだしさ。引っ込みつかないっていうか」

「変に意地張らないほうが痛い目見ないで済むと思うけどな。ていうかお前さん十六つったな?学校は?」

 ふと思いついたように頬杖から顎を上げる。

「夏休み。流石にサボったりしてないよ」

「あ、そうか。えーっと、普通ならあと半月くらいか?」

「まあ行きは探しながらで随分ゆっくり走ったし帰りはまっすぐ飛ばして行くとしても残りはそれくらいかな」

「無理だと思うけどな。今のうちに妥協できるところ考えたほうがいいと思うぞ」

「そのほうが建設的だよね。わかってるんだけどさ」

 顎を上げた陣とは逆にテーブルに突っ伏して唸る。

「はぁ。どうしよ」

「どうしよもこうしよも多分しばらくここから離れるのは無理よ?」

 唐突に食堂の扉を開けて入ってきたのは、

「妖怪スケベシュノーケル」

「語呂いいわね。気に入ったわ」

 突っ伏したまま顔を上げて視界に入った女性は浴場にいた彼女。

「なんだよ姉さん」

 その呼び方に本当に姉弟だったのかと思いつつやり取りを眺める。

「なんだよとは何よ。そりゃあ二人きりを邪魔するのもどうかと思ったけど」

「そういう意味じゃねえよ。ていうか今の呼び方からしてなんかやらかしたな」

「そこにたわわに実ったお尻があったからちょっとひと揉み」

 ひと揉みどころではなかったと思うけど黙っていることにした。陣のこめかみがはちきれそうだから。

「アホか!ぶん殴るぞ!そんで?何の用だよ」

「んー?ちょうど彼が出てくる頃よ。さっき確認したわ」

「あっ!」

「っなになに?」

 突然の大声にびくりと背筋を震わせて起き上がる蜜葉。

「そうだった……。タイミング悪いな……」

「だからなんなの?」

「あー。ちょっと夜更かし付き合え。見たほうが早い」

「はい?」

「姉さん、どれくらい?」

「そうねえ。遅くても二時間くらいでお出ましかしら。でもご機嫌次第だからね」

「そんくらい起きてられるか?」

「ま、まあいいけど……」

 随分と真面目に困り顔をしている陣の様子に断りきれずに頷く。本当は疲れているし早く寝たかったのだが。

「あらまぁ。初夜からお盛んね」

「黙ってろ」

「黙ってろ」

 見事に同時に睨む。

「仲のいいことで。それじゃおやすみなさーい」

 言うだけ言って出ていく背中を二人で睨んでため息をつく。

「悪いな」

「別にあんたに何かされたわけじゃないし。ところであの人名前何ていうの?」

「あ?聞いてない?」

「風間ってだけ聞いたけど姉弟なんだから一緒でしょ。下の名前聞いとかないと呼ぶ時不便だから」

「……まぁ、そうだな。魅月だよ。みつき」

「魅月さんね。わかった」

「悪いな」

 バツの悪そうな様子で頭を掻く陣。

「うん?二度目だよ?お尻触られただけだし。気にしないでいいよ。あんたが触ったわけでもなし。それよりさ」

「ん?」

 立ち上がり陣の背後に回り込む。

「おい」

「んー?この辺かな?」

 シャツの襟元を探る。

「お、あったあった」

「ああ、それ?聞いたのか?」

「知ってたの?」

蜜葉の手の上に乗った細長く薄い黒い箱。

「別に聞かれて困る話する気もないけど盗み聞きされてるの腹立つし。さっきタイミングよく出てきたのもこれで聞いてたからでしょ」

 そのまま握りつぶす。破片を丁寧にゴミ箱に捨ててふんと鼻から息を吐く。

「ていうかなんで知っててそのままにしてるわけ?」

「最初は気づいたら外してたけど気づいたらまた付いててもうめんどくさいから。あとなんだかんだ便利だし」

「は?」

 腰に手を当てて眉間に寄せるシワの限界に挑戦しているような顔をする蜜葉。

「いや連絡手段ないからさ。こっちだと。どっから持ってきてんだか作ってんだか知らねえけどこっちの声聞こえるだけとは言え通信できるのは便利だから」

「ああ、そっか」

 と、自分のスマートフォンを出そうとポケットを探ってみるが、

「あっ、荷物バイクのメットインの中だ」

「ああ、ついでにガソリン入れてやるか」

 思い出したように立ち上がり、自分のカップの中身を一息に飲み干す。

「あんた実はコーヒー苦手でしょ」

「なんでバレた?」

「そりゃ口に含む前にいちいち覚悟決めるみたいに息飲んでたらわかるって」

「砂糖入れてれば飲める」

「あ、そ。カフェオレにすれば?」

「牛乳きらい」

「あ、そ」

 呆れながら、食堂を出る陣に続く。

「なんか喉に残る感じするじゃん?あれがどうにも無理」

「あ、牛乳の話続けるの」

「え、続けないの?」

「ぶっちゃけ興味ない」

「お前好き嫌いないの?」

「ない」

「えらいな」

「普通でしょ。食べられるだけありがたいってだけだし」

 ロビーを横切り、階段を上がる。

「んーと」

 ポケットをまさぐり出した中身を手のひらに乗せて確認する陣。

「えらいからご褒美をやろう。右と左どっちがいい?」

「なにそれ。右」

「ほれ」

 差し出された手から受け取ったのはキャラメル。

「なんでこういうお菓子は持ってるんだか」

「チョコかキャラメルくらいしか持ってないぞ」

「一緒でしょ」

「熱糧食だからです」

「あ、チョコのほうがいい」

「ん?ほれ」

 左手に残ったチョコも蜜葉の手に乗せる。

「ちゃんと歯磨けよ。両方やるから」

「子どもじゃあるまいし」

 文句を言いつつチョコを口に入れる。苦い。

「ビター……。昼間のやつのほうが好き」

「昼間何やったっけ?」

「生チョコ」

「今切れてるわ。今度な」

「ちぇー」

 階段が終わり、地下から地上へ出る。外は完全に日が沈み、夜が覆いかぶさっていた。

 どこからともなくナニカの鳴き声が聞こえてくる。虫のようで鳥のような、鳥のようで犬のような鳴き声。

「ふむ」

「何?」

「いや、物怖じしないんだなと思って」

「もう慣れた。ザコの群れくらいならどうにかできるってわかったし」

 誰かが移動させたのだろう、外に出していたはずのバイクがエ屋内のレベーター横に停められている。歩み寄ってメットインを開ける。

「はっはっは。そろそろ痛い目見る頃合いだぞそれ」

「何それ」

「慣れてきたくらいが一番危ないって話だよ」

「危ない、ねえ。危ないって言えばさ。愚痴聞いてくれる?」

「あん?」

「私だって一人勝手に飛び出したわけじゃないって話。ちゃんと護衛の人雇ったんだよ?」

 中の鞄からスマートフォンと化粧ポーチを引っ張り出しつつ嘆息する。

「実際一人だったろ」

「まあねー。これでも結構強い自信はあったしさ。正直私より弱いんだったらどうでもいいかなとは思ってたんだけど、まさか出発した日の夜にはもういなくなってるとは思わないじゃん?」

「それだけ聞くとお前が無茶苦茶やって付いていけないわって愛想尽かしたようにしか思えん」

蜜葉とバイクを挟んで向かいに立ち、ガソリンタンクのキャップを開く。

「無茶苦茶なんてしてませーん。ふつーに東に向かってただけですー」

「拗ねるなって。何?弱かったの?」

 口を尖らせる彼女には目を向けずタンクの中を覗き込む。

「知らない。誰でもいいから連れて来てとは言ったしすごい安かったから多分」

「そりゃお前、自業自得だろ。ふむ。ゴミが溜まったりはしてないな」

「一応新車だし」

「あ、そうなの。道理でキレイなわけだ」

「この子は文句も言わずに走ってくれるのに」

「案外、喋れたら思い切り毒吐かれたりしてな」

 エレベーター横に置かれたジェリカンを確かめる。

「ちゃんと用意してんじゃん。つーか用意したなら入れとけよな。そんで?」

「んー、まぁ私だって目的地不明の東行きなんて頼まれたら絶対断るけどさ。だからって初日にいなくなってるってどうよって思うわけです」

「心細かったのか?」

「そう言われるとちょっと違うような……。違ってもいないような……。

 正直、いなくなった時はなんとも思ってなかったし、別に護衛役として期待はしてなかったけどやっぱり大人の男の人がいるってだけで色々違うんだろうなって。小娘一人だとどうしてもナメられるし」

 シートに頬をつけてため息をつく。その様子を一瞥し、ジェリカンにスパウトを取りつけてわざと軽い口調に切り替える。

「ほら、どいたどいた。ガソリンまみれになりたくなければ大人しくそこをどきなさい」

「むあー」

「余計なこと思い出して凹んでじゃねえぞめんどくせえ」

「むあー」

「どけって言ってんだろほら」

「はーい」

 耳元でジェリカンを揺らして水音で追い立て、悠々とタンクにガソリンを注ぎ込む。

「あんたはなんで私に声かけたの?」

「あん?」

「だって、別に声かける必要なかったでしょ。私が勝手に喧嘩に乗るだけだし。そもそも今まで声かけてくれた人なんていなかったし……」

「そりゃお前、俺にも色々段取りがあってだね。俺に優しさを期待されても困るぞ」

「なんだ。期待したのに」

「世の中そんなに優しくないの。ほれ。満タン」

「世知辛いなぁ。ついらしくもなくナイーブになってしまった」

「疲れてんだろ。とりあえず見るもん見たら休みな」

「そーする。あとどれくらい起きてればいいの?」

 わざとらしく明るい口調に戻った蜜葉の問いに、首をかしげる。

「さあ、向こうのご機嫌次第だからなんとも。とりあえず見張り番始めるから上行くぞ」

「はーい」

 ジェリカンのスパウトを外してしっかり栓をして置いてあった場所に戻してから階段を上がる。

「ところで、なんでここから離れられないわけ?」

 後ろをついてくる蜜葉に見えるように大きく肩をすくめ答えてから、踊り場の窓の外を指差す。

「それを見てもらうんだよ。ちょうどお出ましになったみたいだぞ?」

「はい?」

 身長差と階段の位置のせいでうまく見えない彼女が陣の背中から顔を出すように指の先を確認する。

「まじで?」

「こういうこと」


 さて、嘘はついてなさそうなんだが、どこまで信用できるか。、まあ下手に離れられるより近くに置いておくほうがやりやすいだろ。そう考えればお誂え向きかもしれないな。


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