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処刑
旧校舎のそこかしこの教室は、マリベルの手配によって畳が敷かれ、客たちが丁だ半だと騒ぎながら金を賭けていた。ツボが開かれて出目が決すると、寺銭のない完全に公平な配当が客に渡される。
ツボ振りを務めるのはどの教室でも着物を着た女子児童の仕事で、男子児童はその脇で「丁ないか半ないか」と威勢よく声を張っている。子供たちの誰も彼もが、仁侠映画で予習したかのような見よう見まねの姿で、どこか〈ごっこ遊び〉のようでもあった。しかし、だからこそいつも以上に〈セルバトス〉は和やかだった。
そんな中、四人のヤクザたちが案内されたのは、体育館の隣の武道場だった。
かつては剣道の練習で踏みしだかれてきた黒い板張りの床に茣蓙が敷かれ、その中央に、黒地に鞠の着物姿の異国の少女が、静かに腰を下ろした。
「それでは、始めさせていただきます」
目の前に居並ぶヤクザに向けて、右手にツボを、左手の指にふたつのサイコロを見せる。
「……入ります」
マリベルは流麗な動作でツボの中にサイコロを入れると、すとん、と小気味良い音を立てて、サイコロを封じ込めたツボを盆茣蓙の上に置いた。
勝敗の決まった丁半勝負はこのようにして始まり、夜明けと共に終わった。




