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ブラックジャックルーム
隣の教室、ブラックジャックルームに入ると、マリベルはひとりの客に近付いた。
「南都先生、調子はいかがですか?」
「あ……あぁ、マリベルちゃん」
二台置かれた七人がけのブラックジャックテーブルに、度の強い眼鏡をかけた、野暮ったい格好の三十前後の女が座っていた。
眼鏡の下の、隈のできた目を擦りながら、南都は首を振る。
「今日はぜんぜんダメね。もう二十万円も負けちゃった」
「少し間を置かれてはいかがですか? 締め切り明けでお辛いのでは?」
「いいの。大丈夫。もう少しで勝ちの波に乗れそうなの」
「……そろそろ日付が変わります。家庭科室でフルーツやお菓子を召し上がられては? 仮眠でしたら保健室をご利用できますが?」
「ありがとう、マリベルちゃん。……考えておくから」
勝負を続行するらしい南都に、マリベルは一礼してからその場を辞した。




