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飛んだ

「は〜い…よちよち…良い子でしゅからミルク飲みまちょうね〜…」


そんなオッサンの裏声を聞きながら俺は必死に口を噤む。

ハエの落ちた鍋をグツグツ煮込み火を切って

『出来た!』とか喜んでたオッサンだが…

哺乳瓶にその完成ミルクを入れる際目にしたのは

デロデロに溶けたハエの死骸…。……死骸…。


作る時に入ったのを見たのは1匹だったハエが…

よく見れば3匹も入ってた。…オッサンよ……

気づかないフリでもしてんのか…。

それとも…この異世界じゃこれが普通なのか…?

…嘘だよな?…生まれたての赤子に

溶けたハエをミルクに混ぜてあげたりなんてしないよな!?


「いい子だからァ〜…頼むよ〜…お腹空いてないのかなぁ…」


オッサンの表情には少しだけ諦めの感情が浮かんでいた…。

…もう少しだ!もう少し踏ん張れ!俺!!


「ムグ……グルゥ(怒)」

嫌がってんのにいつまでも執拗いオッサンにイライラしてきた……。

そのせいか…喉奥から怒気を孕んだ唸り声が漏れる。


「えぇ!?……やっぱりお腹空いてないのか?…折角作ったのになぁ……」


シュンとして猫耳を下げて項垂れるオッサンだが…断じて可愛くないからな。

動物って喋れないから不便だわ…。

「クォゥ…(マジつらたん)」


「んん?お前俺にごめんなさいしてるのか?…何っていい子なんだ!よしよ〜し♡」


…何か……盛大に変な勘違いしてやがる。

つーか頭撫でてる手がゴツゴツしてて痛いわ…。

いや…真面目に。…痛てぇ…。


「〜♪」

俺を好きなだけ撫でた後機嫌を取り戻したオッサンが鼻歌歌いながら先程の哺乳瓶を片付ける。


…片付けるって言っても流し台に置いただけだがな!!(汗)


にしても……汚ねぇ部屋だなオイ。

台所といい俺の今居るベッドといい…埃と虫が半端ない。…いや、冗談抜きで。


誰だよ俺をこんな場所に寄越したアホは。


…あぁ…ゴブリンか…。

…この命付きて転生する際…絶対殴る。

1発じゃ足りない。……5発は殴る。思い切り。


そんな事を考えてた時台所近くの扉の向こうから足音が複数した。

その音が近付いてくるのを感じた俺はすぐさま隠れる場所を探したが……

唯一大丈夫そうな場所といえば埃が溜まってそうだけど安全そうなクローセット?の上の隙間だった。


クローゼットの扉は空きっぱなしで服の山が積んである…。

山の中に何故か大きい鍋があったのは……

…見なかったことにしよう。


今生の俺には翼があるからな!

いざゆかん!クローゼットの隙間へ!


誰に教わるでもなく自然と動かし方は分かった。

背中の1点に適度に力を加えれば勝手に動くようだ。

アレだな。人間は教わりもしないのに指の動かし方を知っているのと同じ容量だ。

翼をはためかせてクローゼットの隙間を目指して飛ぶ。


「え!?…嘘!?…ちょっ…ちょっと待っ…!?」

オッサンが慌てて追いかけてきたが…捕まえられるわけねーだろ!(笑)


「…フンっ!!」

猫の手が尻尾を掠る…。


「ギュゥ…(危ねぇ…)」

吃驚した。……吃驚した。

尻尾掠った……怖い…。


と、まぁ…ハプニングもあったが無事クローゼット(の隙間)に到着。

同時に扉の前にて…複数の足音が止まる。

俺はクローゼットの奥に身を隠した…。

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