9話 回復薬
「戻りましたよークロムさん。 これで合ってますか?」
「お、戻ったか。 どれどれ……確かにこれがスネア草だ。 覚えておけよ、このスネア草はほぼ全ての回復薬の素に使われる薬草だ。」
クロムさんは、はじめにまず回復薬の作り方を教える。
「どんなに回復魔法に優れてても魔力が足りなければ発動しないし、使える回数も限られている。 回復職ほど回復薬に精通しないといけないし、パーティーの生存率を上げるのが回復職の仕事だ。 そのためにもまずは回復魔法以外の回復の仕方を覚えるのが先決だ。」
(言ってる事は理解もするし、同意するけど回復より攻撃できる魔法が覚えたいよ……。)
懇切丁寧に言っても本人がこれだと教える意味があるのか甚だ疑問だ……。
しかしながら、そこははじめの美徳というかしょうもないみえというか‥素直に聞いて自分ものにしようとする。
「確かに回復職が回復できなくなったら存在価値ないですもんね!」
「お前さん言ってる事は的を得てるが、もうちっと言い方ってもんがあるだろ……。」
クロムさんは溜め息を吐きながら回復薬の作り方をはじめに教えて行く。
「やはり適性があるからかのみのこみが早いな。」
(そりゃ昔から何をしても卒なくこなす俺だからな!)
卒なくこなすのは間違ってないかもしれないが何事も続ける根性がないのが夏原はじめである。
じゃなければニートになんてなりはしない。
「この調子なら基礎の回復薬の精製はすぐに済みそうだな。」
(才能の塊たる俺にかかればこんなもんよ!)
こういった思考が愚かだと言わざるを得ないのがこの男である。