7話 適性玉
(とりあえずクロムの親父さんから聞いた話をまとめると、ここはアドニス王国領の国境付近にあるトラット村って場所で、この世界では危険指定地域以外は四つの王国があるらしい……
しかも異世界人は数年に数人は現れるらしい。
ただ、色んな世界があるらしく地球という世界は知らないみたいだ。
そしてクロムの親父さんは少し前まで王国で医師をやっていたらしく、王国の医師団を引退して医師のいないトラット村に来たらしい。)
「お前さん、とりあえず傷はないみたいだし、この世界に来たばかりなら職業適性を調べてみるか?」
「職業適性? そんなの調べる事ができるんですか?(それって勇者フラグじゃないの? もしくは英雄か?)」
そんな簡単にこの男が勇者や英雄になれたら苦労もなにもない。
「普通は15歳になった時に調べて、その職業適性に進むのが一般的なのだがな。 大体はギルドか村の村長が職業適性を調べる。 それを調べるのがこの適性玉だ。 色によってその職業がわかるのだよ。」
(そのままじゃねぇかよ。 もうちょい名前ひねれよ。)
「はい、お願いします。」
はじめは手をかざしてみると淡く二色の色が仄かに出はじめた。
「ほう、二色でるとは運がいいな。 ほとんどの奴は一色だし、なかなかレアだぞ。 まあ、稀に三色でる天性の才能がある奴もいるがの。」
(そこは三色でろよ、俺の才能……)
「水色と橙色だからお前さんは医者と鍛治職が適性だな。」
(は? 医者と鍛治? 戦えなくない? 後衛か支援って事?)
「それって戦いには不向きって事ですか?」
「まあそうだな、前衛職みたいな攻撃系は覚えられんよ。 訓練して身体能力を上げて戦う事はできるけど攻撃魔法は適性がない。」
(まじか!? まさかの後方支援!? )
「ち、ちなみに覚えられる魔法はどんなのがあるんですか‥?」
「回復で最初に覚えるのはリカバリーと、鍛治ではエクストラクションだな。 リカバリーはまあ、回復魔法で傷などを癒す魔法だ。 エクストラクションは鉱物から鍛治に使う素材の抽出だな。」
(じ、地味だな……)
「地味だと思ったか? しかしこの二つは結構重宝されるだぞ。 意外と適性は少ない部類だしパーティには欠かせない回復と武器製作に必須の職業だから割と引っ張りだこだぞ?」
「いえ! そんな事は考えてませんよ! むしろ人を助けれるためには必須の職業で誇りをもてますよ!(とりあえずこの手の親父タイプにはこういう事言えば上機嫌になるからな。 伊達に日本で営業やってないよ。)」
「そうだろ! 必須の職業なんだよ! 俺は回復職だから誇りを持って仕事してるんだよ! それなのにパーティでは回復しか能が無いって言われたり、王国では前衛職の奴らに回復薬を作るか怪我を直すしかできない後衛で守られてる弱職っていわれて地位は低くてな……だから身体は鍛えて、戦えるようには訓練したのだが、やはり前衛職程には強くなくてな……」
(おいおい、いい意味で引っ張りだこじゃないのかよ……
早くも俺の未来が暗いじゃないかよ……)