34話 回復の価値
はじめはタインに向かう道中、行商人のドミオンに出会い馬車に乗せてもらう対価として回復薬を渡し乗せてもらっていた。
(馬車って初めて乗ったけど、思ってたより乗り心地悪いな……尻が痛くなるし、足腰にもくるな……
しかもこの怪我したファロン? って言ったっけ? 全身包帯巻きになってるけど生きてるの?)
「兄ちゃん、後ろはちと狭いけど平気か?」
「な、なんとか‥かなり尻は痛いですけど」
「ハハハ、すまんな! 座ったり寝転ぶ為のマットはファロンに使ってて兄ちゃんは直座りになっちまって。
まあ、多少乗り心地が悪くても我慢してくれ」
「(謝るくらいなら無料で乗せてくれよ!)いえ、大丈夫ですよ! それよりファロンさんは大丈夫なんですか?」
「とりあえず、盗賊にやられた怪我は回復薬でなんとかなったけど、出血がな……貧血と体力的にも限界で気を失ってるけど死にはしないさ。
商人だってそんなヤワじゃないからな!」
「それなら良かったです、やっぱり旅や冒険するときは回復薬や回復職って必須なんですね(やっぱり回復薬作って売ってで稼げそうだよな)」
この世界で回復職の価値は高いが質の高くない回復薬は作ってる人も多く、町に行けば割とどこでも売っている。
しかしはじめやクロムが作っている回復薬はかなり質が高く、そこそこ高値で取引されるような回復薬だ。
それに加え、はじめは回復職では異常のリカバリーも使える……他者には使えない愚者ではあるが。




