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33話 行商人

腹ごしらえも済ませ、また歩き始めて一時間くらいたった頃だった。

後方から砂煙を上げながら馬車がこちらに向かって来た。



「お、おお、やっと歩かないですむ!!!

あの馬車に乗せてもらおう!!!

これも日頃の行いが良いからか!」



そんな訳はない。 はじめの行い程度で日頃の行いが良いのであれば殆どの人が幸運に見舞われる事になるであろう。



「おーい! おーい!! 乗せてくれて!」



はじめの手前で馬車は急ブレーキをかけるように地滑りを起こしながら止まった。

乗って居たのは至る所に擦り傷や切り傷、服なども汚れた男だった。



「兄ちゃん……盗賊の類じゃないだろうな?」


「盗賊? いえ、自分はトラット村でお世話になってる者です。 これからタインにレッドボアの換金に行くところです。

(初対面の人に向かって盗賊とか失礼な奴だな、お前の方が盗賊っぽいわ)」


「おお、トラット村の人か‥すまんな……おれは行商人をやってるドミオンって者だが、つい先程盗賊に襲われて逃げて来たところでな。」


「な、なるほど。 自分は夏原はじめっていいます。

(盗賊に襲われって……また襲われないよな?)

もしよければタインまで乗せていただけないでしょうか?」


「負傷者が1人後ろに乗ってるから狭くてもよければ5000アドニスで乗っけてやるが?」


「(金取るのかよ)あの、えーとですね……今持ち合わせが無くてですね……このレッドボアの換金でお支払いしてもいいですか?」


「うーん‥本来なら先払いなんだが、兄ちゃん回復薬類はもっているか?

後ろにいる相方がファロンっていうんだが、あいつが負傷して回復薬が尽きちまってな。

体力の回復薬か外傷の回復薬があればそれで手を打とう。」


「いちよう一個づつ持ってはいますけど……(クロムのおっさんに念のため持たせて貰って感謝だわ)」


「おお! そうか!! ならそれで手を打とう。」


「そうですね。 ありがとうございます。

しかし、乗せてもらう代金は一個でもう一個は買取でしたら了承します。(乗せてってもらうだけで二個も取られてたまるかよ)」


「兄ちゃん抜け目ないな! わかった‥こっちも必要としてる物だからな、買取らせてもらうよ。」



こういう時にすら抜け目なく利益を取りに行くのがはじめである。

この世界の紙幣価値もなにもわからないのにハッタリだけで上手くしのぐのだ。

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