32話 サンドイッチ
タインに討伐報酬の換金とこの世界の観光を含め向かう為に舗装もされてないような砂利道をはじめは歩いていた。
「馬とか馬車ないのかよ……まあ馬なんてのった事ないから乗れないだろうけど、徒歩で1日が近いという感覚がもうすでにおかしいよ。
行ってみたいって気持ちだけで行きますって言ってみたものの既に疲れて来たし。」
そうはじめはクロムに行きたいと伝えてその翌日の早朝に出発したのである。
トラット村から一番近いギルドなどがあるタインまで徒歩で十二時間程で着く距離を歩いて昼頃を過ぎたあたりではじめはうなだれていた。
「クロムさんが行商人がもしかしたら通るからそしたら乗っけてもらえって言ってたんだけど、全く通る気配なくない!?
それどころか人っ子一人まだ会ってないよ。
だめだとりあえずお昼ご飯食べよう。」
そう言いながらはじめはクロムに包んで貰ったレッドボアのサンドイッチを包みから取り出す。
「あああ……美味い……染み渡るよ。
パンが少し硬いのが難点だけど、それを有り余って柔らかいレッドボアの肉が美味すぎる。」
レッドボアの肉は一度火を入れると柔らかいままの肉なのだ。
それもこの肉の特長なのだが、冷えてもその柔らかさが持続するのである。
「はぁ、あとどれくらいの距離あるんだろう……もう既に帰りたいわ。
しかもこれタインから帰るのもめんどくさいよ。
帰りは絶対に馬車かなんかに乗ろう! 決めた! 換金したお金の半分くらい使ってもいいから徒歩では帰らない!」
そう決めたはじめはまた歩き始めた。
これからまた巻き込まれる事も知らずに。




