20話 金稼ぎ
20話
「こんにちはー!」
「おーミリアか、もう家の手伝いは終わったのか?」
「はい! 午前中には終わったので今日も回復薬の作製のお手伝いにきました!」
お昼を過ぎた頃、家の手伝いを終えたミリアが訪ねてきた。
ミリアは回復薬の作製の手伝いと作り方を教わりに家の仕事が終わってはクロムの家に来ているのである。
「(俺の癒しが来た!)こ、こんにちはミリアさん。」
「はじめさんも、こんにちはです! 今日もはじめさんは回復薬の勉強ですか? 」
「そうですね、色々な回復薬の作り方とエクストラクションの模索です。」
「え? はじめさんって鍛治職の適性もあるんですか!?」
「はい……本当は攻撃魔法とか使ってみたかったんですけどね。」
「う、羨ましいです! 適性職二個あるなんて……私初めて二個持ってる方に会いました!」
「やっぱり適性二個持ってるってなかなかいないんですか?」
「そうですよ! 二個持ってるってだけで憧れますし、どっちも生活に困らない職ですし、はじめさんの適性は羨ましいです!」
「(そんな羨ましいならあげるよー!)いえ、自分はまだ使いこなせていませんし、回復職として欠陥もありますので……。」
あげるよと言って、あげる気もなければ能力自体譲渡なんてできもしないのにこれである。
「お、お前さん……それは言わん方が……。」
「欠陥?……ですか?」
「大丈夫ですよクロムさん……別に隠す気もないので。 俺は回復適性はあるのですが、自分しか回復できないみたいで他の人にリカバリーが効かないみたいなんですよ……愚者ってやつみたいです。」
「愚者ですか? うーん……私はそれでも回復薬作るのに適性があるだけで羨ましいですし、自分の怪我治すのにお金がかからないってだけでちょっぴり嫉妬しちゃいます!
私の家はそんな裕福な家庭ではないですし、回復薬も買うとなるとそれなりの値段するので、作り方習ってるってのもありますからね!」
「(ええ子なー。)か、回復薬って高いんですか?」
「そうだな。 安くはない‥疲れを取ったり、切り傷を治すくらいのは素材があれば誰でも作れるから割と安いが、重症や病気などを治すやつは希少価値も高いし、そのレシピ自体作るのに適性が必要なのだ。
だからほとんどの回復職の奴らは回復薬を作るより魔法を使った方が早いってので回復薬自体出回るのも少なく値段が上がってしまうんだ。」
「そうなんですね……じゃあ回復薬を沢山作れば一攫千金狙えるのか。」
「ま、まあ、稼げはするがそもそも素材を集めるのが大変だぞ?
特に希少価値の高い回復薬を作るとなると、ダンジョン産の素材だったり秘境みたいなとこの素材だったりと簡単に手に入らない物ばかりだ。」
「(まじか!? 金稼ぎは鍛治職の方に期待か? なんかむさ苦しそうで嫌なんだよな。)まあ、一攫千金狙わないでも生活できるのでしたら頑張って色々な回復薬の作り方覚えますか。」
欲を描き、愚痴を思い、表面は取り繕うのがこの男はじめだ。




