19話 地位の低さ
「ぐ、愚者ですか……?(うわー‥何その恥ずかしい名前‥二つ名みたいだけど、よりによって愚者って……恥ずかしすぎるわ!)」
回復職としてなんでもでき、人々の万病などを治せる者の到達点として呼ばれるのが賢者。
その対局として、自分以外の人を回復できなく人々の役に立たない回復職を蔑まられる意味で呼ばれる者を愚者と言う。
「まあ、ただお前さんの場合、適正職が二個あるのが救いだな。
しかもそれが常識はずれのエクストラクションだし……色々な職の中でも回復職の地位は低いが、それが自分しか回復できないとなると余計扱いが酷くなるからな。」
「そんなに愚者だと扱いが酷くなるんですか?」
「パーティーを組んでも、魔法で回復できないし前衛職みたいに攻撃に特化もしてないからな。
酷いのだとモンスターの壁役みたいに扱われる奴もいる。」
「(モンスターの壁役って……。)愚者と呼ばれる回復職の地位って本当低いんですね……ちなみに鍛治職はどうなんですか?」
「鍛治職はそこそこってとこだが回復職ほど低くみられないな。
回復は回復薬を買えば替えはきくが、鍛治職はダンジョンや長期遠征などで劣化したりで手入れする武器や防具などは替えがきかないからな。
特に武器や防具に愛着ある奴も多いし、装備を整える職として後衛として入れてるパーティーも多いな。
ただ、いくら愚者だと言っても回復薬を作る事は適性が高いから回復薬を作る仕事としては困らないぞ?」
「(そんな取って付けたような励ましはいらないよ。)そうなんですね……。」
「お前さんの場合、鍛治職としては異常だから回復職はおまけとして考えればいいと思うぞ?」
「わ、わかりました。とりあえず回復薬の勉強はして、エクストラクションの使い方でも模索してみます。」
そう、はじめのエクストラクションは異常なのだから回復職に拘る必要もないのだ。
鍛治職の魔法としては右に出るものが居ないほど万能で、鍛治職の域に収まらない魔法の使い方ができるのだから。