17話 お古
はじめは慣れない布団や環境で朝早く目覚める。
そこにちょうどクロムさんがノックをして声をかけてきた。
「お前さん、起きてるか?」
「クロムさん、おはようございます。 今起きたところです。」
「おはよう。 昨日色々調べてみたんだがな……やはり今までに例がないし、うちで調べるには限界がある。
もしかしたら、王国にあるギルドか魔法学院に行けば分かるかもしれない……。
お前さんにはまだ教えてなかったがギルドは冒険者が登録して、傭兵やモンスターの討伐、未開地の開拓などをして生計を立てる為の場所だ。 また、様々なアイテムも買い取ってくれるぞ。
魔法学院は魔法適性が高い奴らが己の研鑽や魔法に対して知識を付けに行くところだな。 冒険者で魔法を扱う奴は大概、魔法学院の卒業生だ。」
(いや、別にそこまでして自分の能力知りたいワケじゃないよ‥困ってる事もないし。)
当の本人がこれだ……クロムとの温度差が凄まじい。
はじめは朝が弱くクロムの話しを聞く気もなく二度寝したいとさえ考えてる。
「とりあえず、今日はお前さんのエクストラクションとリカバリーを試してみるからな。
朝飯は俺が作るから顔洗って着替えて来い、俺のお古で良ければ服は勝手に使っていいから。」
「あ、ありがとうございます。」
そう言って出て行ったクロムを尻目にお古の洋服を漁る。
(どれもデカイよ……俺と全くサイズ違うから基本ブカブカになるわ! しょうがないから裾、袖を捲って、ベルトを締めてと……なんとか着れるな。 親父の服着てる子供みたいになってるけど。)
人から服まで借りても内心は文句ばかりである。